リチャード・クー氏:日米が許容できるのは103-105円

リチャード・クー

麻生副総理のブレーンとしても知られる野村総研のリチャード・クー氏が、日本の財政・金融政策を評価した。
劇的な追加緩和は大きな効果が見込めないばかりでなく、円安誘導への米国の反発が強まりかねないと警告した。

金曜日の日銀金融政策決定会合の結果には期待外れとの声もあった。
新興国では日銀の緩和マネーのスピルオーバーを期待する声もあったが、大喜びといった内容ではなかった。
バランスシート不況という考えで財政政策の重要性を主張してきたクー氏は、日銀がヘリコプター・マネーのような劇的な緩和強化を行わなかった背景をインドETで解説した。
そもそも借り手不在の経済状況では金融緩和の効果自体を期待できないほか、為替への影響に配慮しているという。

「米国は円安の行き過ぎを望まず、日米は自由貿易を約束している。
ドナルド・トランプやバーニー・サンダースが自由貿易を破壊するのを許すことはできない。
こうした点が日銀や日本政府の頭にある。」

クー氏は、緩和強化が対円での人民元高要因にもなり、中国経済の立ち直りの障害になるとも指摘。
こうした観点から、日本の金融政策は為替相場の制約を受けると語った。
具体的なドル円相場については貿易収支の黒字化による円高圧力が働いていると指摘し

「110円より少し下の103-105円なら、太平洋の両側が許容できるだろう。」

と語っている。

クー氏は13.5兆円の財政政策とそれに協調する形の緩和強化を評価している。
マイナス金利導入時は、同政策を「知的破綻」とこき下ろしていたから、たいした向上ぶりだ。

「日本政府は(バランスシート・不況を)よく理解しているから、大型の財政政策を打ち出した。
日銀のプレッシャーは考えられているほど大きくない。
日銀も、日銀や他の中央銀行がこの状況でやれることを理解している。」

すでに、世界は大きな貯蓄余剰にある。

  • 日本の民間セクターは過去20年ゼロ金利なのにGDPの7%を貯蓄してきた。
  • 米国の民間セクターはゼロ近傍の金利でGDPの4%を貯蓄している。
  • 欧州はマイナス金利でもGDPの5%を貯蓄している。

「かつて、こんなに金利が低いのに民間セクターがお金を借りないことはなかった。
民間セクターが借りないなら、誰かが借りないといけない。」