ミネアポリス・プランは金融危機を防げるか

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ミネアポリス連銀Neel Kashkari総裁が、ドッド・フランク法に代わる金融システム保全のための『ミネアポリス・プラン』を提案した。
大手銀行の所要自己資本比率を倍以上に引き上げるよう求めている。

リーマン危機で多くの金融機関が破綻の危機に瀕した際、救済に奔走したカシュカリ総裁が新たな金融規制案を提案したとBloombergが伝えた。
『ミネアポリス・プラン』と題する案は金融システムに不全を起こさないことを主眼に作られ、次の4つの施策からなる。

  • 大手行の自己資本規制に算入できる資本を普通株のみに限定し、所要自己資本比率を10.5%から23.5%に引き上げる。
  • 財務省が個々の銀行について「too big to fail」でないことを査定・認証し、認証の取れなかった銀行はリスク資産に対し38%の自己資本を要求する。
  • 大手のシャドウ・バンク(ヘッジ・ファンド、ミューチュアル・ファンドなど金融機関)には、債務額に対して1.2-2.2%の税を課す。
  • 中小金融機関への規制は緩和する。

カシュカリ総裁は、今後100年のうちに政府による銀行救済の発生する確率を推計している。
それによれば、2010年ドッド・フランク法を含むリーマン危機後の金融規制強化は、発生確率を84%から67%に減らすことができたという。
それに対し『ミネアポリス・プラン』を実施すれば、発生確率は10%まで低下させることができるという。

「(ミネアポリス・プランによって)金融システムは全体としてよりよい資本構成となり、大きなショックに遭遇しても危機の引き金を引くことなく持ちこたえることができる。」

とカシュカリ総裁は胸を張る。

ドッド・フランク法は、金融システムにとって重要な銀行に、高いリスクを取るなという色彩が強い。
こうした規制は金融機関の信用創造の妨げになったり、重要な金融市場の流動性を低下させたりするとの批判があった。
それに対し、『ミネアポリス・プラン』はリスクを取りたければ資本を積めという方法論だ。
もちろん、資本調達できない銀行があれば、同様にリスク・テイクを縮小せざるをえなくなる。
ただし、資本調達するにせよ、リスク資産を減らすにせよ、金融機関の自由度は残り、いびつな縮小が避けられるかもしれない。

ドッド・フランク法を廃止し、自己資本比率規制を強化せよとの意見は、グリーンスパン元FRB議長も主張している。
所要自己資本比率を20-30%に引き上げるよう求めている。

こうした議論が盛んになる背景には、金融システムが試される事態が起こりかねないとの懸念がある。
その懸念は、金融政策の転換と関係したものだろう。
グリーンスパン氏は最近インフレの昂進により金利が3-5%まで上昇しうると予想している。
金利上昇の気配が、金融システムへの心配をかき立てている。