ブラックロック:相対価格ではなく中身を見ろ

Blackrock

資産運用の世界最大手BlackRockのRuss Koesterich氏が、債券との比較で株式を安いと主張する風潮に警鐘を鳴らしている。
市場のブル派が株高の本当の理由を語らず、都合のいい《理論》を作り上げ買いを煽っているのを戒めたもの。

相対価格は割安の理由にはならない

米国株が依然として史上最高値圏にある中、Koesterich氏は自社ブログで(移動平均EPSに対する)PERが20倍を超えた点を注意喚起する。
リーマン危機後、分母のEPSが極めて小さかった2009年以来の高水準だ。
こうした高PER圏でも、ブル派は、株価と債券価格の相対価格やFEDモデルなどを擁して買いを正当化している。
Koesterich氏は、株価の債券価格に対する相対価格を重視しすぎるなと戒めている。

Koesterich氏によれば、株式の債券との比較は将来のリターンを保証してはくれるものではないという。
このロジックは、株価の評価の基準を債券価格に置くやり方だ。
ところが、肝心の基準の方が、「異常な金融政策」によって高値になっている。

低PERの理由が高PERを生む

この異常な金融政策は

  • 先行きが心配される実質・名目成長率
  • 停滞気味の企業収益

に対応したものだ。
冷静に考えると、こうした事象が暗示するのは高PERではなく低PERであるはずだという。

「さらに、株式が債券に比べて安く見えるとしても、歴史的なバリュエーションの倍率はエクイティ・リスク・プレミアムより将来の株式リターンのよい先行指標になってきた。」

エクイティ・リスク・プレミアムとは、国債と株式の期待リターンの差である。
これは、債券と株式の相対価格に大きな影響を及ぼすファクターだ。
Koesterich氏が言いたいのは、相対価格よりPERの方がいい先行指標だということだ。
(ただし、短期売買にはPERもあまり役に立たないと認めている。)

PERには中央回帰の傾向が

Koesterich氏はPERとリターンの関係に注目し、過去60年間の年初のPERと年間リターン(配当を除く)を集計している。
年初のPERの平均は16.5であり

  • 年初PERが平均超  ⇒ 年間リターン5%
  • 年初PERが平均以下 ⇒ 年間リターン11%

となったという。
さらに、前年末に(移動平均EPSに対する)PERが20倍を超えた年は、年間リターン1%、上げたのは50%のみだった。
株式市場が右肩上がりを続けてきた米国株市場では、この数字はひどく悪く見える。
PERに中央回帰の傾向があるというのは真実なのだろう。

(次ページ: 過去・現在の高PERの理由)