ビル・グロス:私は壊れた時計でも・・・

ビル・グロス

債券王ビル・グロス氏の今月の月例書簡は、グロス氏のいら立ちを表すものだった。
金融緩和が長く続くことへの危機感を表したものであり、グロス氏の強い思いが伝わってくる。

グロス氏は、この数年間、言い続けてきたことを繰り返す:

  • 主たる問題は、ゼロ/マイナス金利にある。
  • ゼロ/マイナス金利は、不況がやってきた際に「金融緩和のクッション」を使えなくするだけでなく、資本主義の事業モデルを破壊してしまう。
  • ゾンビ企業を生きながらえさせ、シュンペーターの『創造的破壊』を阻害する。

グロス氏は、資本主義がゼロ/マイナス金利では成立しえないと指摘する。
特にマイナス金利の世界はそれが明白だ。
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「11兆ドルも存在する債券は、資産ではなく負債だ。」

今や投資家は、お金を払って負債を買っているのだ。
結果、世界のバランスシートにはおかしな現象が起こっている。
グロス氏はイエレンFRB議長を非難する。

「あなたと他の中央銀行総裁らは、11兆ドルを世界のバランスシートの借方(資産)から貸方(負債)にひっくり返してしまった。
その過程で、短期的な利益のために長期的な苦痛を先延ばしにした。
そして、あなたの化石時代の経済モデルが今後数年で経済を正常化してくれると望んでいる。」

マイナスの名目金利について、FRBにどれだけ責任があるかは疑問だ。
むしろ、責任の主体は日銀・ECB・SNBなどにあろう。
FRBは逆に、批判を浴びながら利上げを試みている。
では、こうしたイエレン議長の金融政策正常化への試みは実を結ぶだろうか。
グロス氏の答はNoであり、その根拠は日本だ。

「うまくいかないだろう。
日本は過去15年、実験台だった。
リーマン危機後の先進国経済も、同じ轍を踏んできた。」

グロス氏は、自身を悲劇の予言者カサンドラに喩えている。

「私たちは、1日に2回だけ正しい時間を指し、あとの1,438分は間違った時間を指す壊れた時計と比べられる。
しかし、信じてくれ:
この時計がうるさく言うのは、世界の膨大な債務と、実体経済を癒すより傷める時代遅れの金融・財政政策のためなのだ。」