ビル・グロス:日中と米独の戦い

ビル・グロス

世界一安全とされる米国債さえ、債券王ビル・グロス氏は危険と考えている。
金利低下は行き着いた感があり、今後の注目は財政政策の有効性に移ると示唆している。

Brexit直後、世界中で国債が買われ、価格が上昇し、利回りが低下した。
比較的経済が順調で、利上げ期待さえある米国でもそれは同じ。
従来から懸念を表明してきたグロス氏が低すぎる金利を危険視しているとBloombergが伝えている。

「歴史的低水準にある国債利回りでは、リスクに見合わない。
国債は買い物リストのトップには置いていない。
あまりにも危険だ。」

リスク資産のキャピタル・ロスを嫌って、安易に国債に逃げ込めば、今度は国債のキャピタル・ロスを食らいかねないというのだ。

「低金利は極めて脆弱であることを意味する。
少しでも金利が上昇すれば、価格が大きく下落する。」

株でのキャピタル・ロスは、ある面準備ができている現象だ。
しかし、債券、とりわけ米国債のそれは通常想定しないものだ。
想定外であることが、金融市場に与えるショックをさらに大きくしかねない。

グロス氏は最近、債券利回りについて2度ツイッターでつぶやいている。

7/29

低利回りはデフレ経済を反映し後押しするものだ。
過去12か月で1.2%成長。
FRBには打つ手がない。

低金利と低成長はセットの現象であるとする見方だ。
グロス氏のつぶやきが正しいなら、米国の金融政策には限界が訪れたことになる。

8/2

日本・中国は財政政策。
ドイツ・米国は反対。
どっちが先に行き詰るかで、世界の債券利回りの先行きが決まる。

金融政策に限界が来ているのに、米国は財政政策を拒んできた。
少なくとも、新しい大統領が就任するまでは、これが続くだろう。
ならば、米経済・米金利・米ドルが弱含みになってもおかしくない。
それなのに、グロス氏は米国債を買おうとはしない。

このロジックのどこに見落としがあるのだろう。
言うまでもなく、絶対的な利回り水準の低さである。
今日より明日、多少のキャピタル・ゲインがとれるかもしれないが、あまりにも低い利回り水準では被るリスクに見合わないのだ。