ビル・グロス:中央銀行が生むグレイ・スワン

ビル・グロス

債券王ビル・グロス氏の月例書簡のタイトルは「倍賭け」。
エスカレートする非伝統的金融政策は、ブラックとまではいわなくてもグレイ・スワンを生みかねないと警告している。

「倍賭け」の意味は、結果を出せない中央銀行が非伝統的金融政策をエスカレートさせている様子を指したもの。
中央銀行がいわゆるマーティンゲール法(勝率1/2のギャンブルで勝つまで倍賭けすること)に明け暮れるさまは、あたかもベガス・マカオ・モンテカルロのカジノのようだと嘆いている。
(言うまでもないが、非伝統的金融政策の勝率が1/2とは限らない。)
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「中央銀行は主張するだろう。
(金融政策の)正常化はまだ待つべきだと。
たとえ正常化しても『ニュー・ニュー・ノーマル』の下では金利は歴史的平均よりはるかに低くなると。
後者の主張は正しいと思うが、中央銀行が倍賭けを続ければ、世界金融市場において『ブラック』またはおそらく『グレイ』スワンのリスクを冒すことになる。」

非伝統的な金融政策がエスカレートするとともに、金融経済では大きなリスクが蓄積されているというのがグロス氏の見解だ。
ある臨界点を超えると、これまでの金融システムは放棄されるだろうとグロス氏は予想している。

「ある時点から投資家は、自分のお金についてマイナス/ゼロ金利を甘受するのに慎重になりいやになり、限界部分において標準的な金融システムを捨て、高いリターンや低いリスクを得られる代替物に乗り換えるだろう。」

グロス氏は、新たな代替物としてビット・コインなど仮想通貨、旧来のものとして金を挙げている。

最後にグロス氏は、従来からの主張を繰り返す。
非伝統的金融政策が、金融仲介機能を著しく損なっているというものだ。
グロス氏は、自ら創業したPIMCOでの日々を回想する。

「PIMCOの過去のクリスマス・パーティーで私は、継続的な資本配分プロセスに貢献したとかつての同僚を称賛してきた。
そのとおり。
私たちが大成功していたのは認める。
しかし、それだけではなく、私たちは世界経済と80億人の人たちが繁栄する手伝いをしてきたのだ。」

これこそ、金融市場に参加する良心ある人々の矜持であろう。
グロス氏は、債券投資という資本配分プロセスを通して

  • 死んだ木を取り除き
  • 新たな成長を助け
  • 将来の逆風を予想する

役割を担ってきたと自負している。
そして、マイナス/ゼロ金利という資本主義の働かない状況の中で「今はそうではなくなってしまった」と嘆いているのである。
中央銀行が自己満足のルーレットで倍賭けを楽しんでいる裏では、預金者・投資家が選択肢のない選択を迫られている。
グロス氏は、「これはいい終わり方をしない」と終えている。