ビル・グロス:トリクル・ダウンという幻想

ビル・グロス

債券王ビル・グロス氏が、所属するJanus Capitalのツイッター・アカウントで、ジャネット・イエレンFRB議長を「ギャング」となじった。
イエレン議長が幅広い資産の買入れの可能性に言及したのに対し、トリクル・ダウンを過信した誤りと評した。

問題のツイートはこれだ。

ギャングのジャネットのところに集まれ!
法的問題があるにもかかわらず、イエレンは、次のQEで別の資産クラスまで買い入れることを検討している。

ジャクソン・ホールでのイエレン議長の講演を受けたもの。
議長は、将来刺激策が必要とされる局面では「他国の中央銀行が採用してきた付加的な手段を検討する」可能性があると語り、買い入れる資産クラスの多様化を例に挙げた。
グロス氏はこの中身をCNBCでも問題視している。

グロス氏は、FRBに対する落胆を隠さない。
FRBの思考回路は資産効果やトリクル・ダウン効果への信仰から来ていると分析し、否定する。

「過去15年間の日本、過去6年間の米国での証拠は、逆のことを示唆している。」

グロス氏からすれば、FRBの誤った信仰が、マイナス金利政策を近づけ、そして今では社債・株式の買い入れまで可能性の中に入れてきたことになる。
ゼロ金利やQEだけにでも反対してきたグロス氏だけに、さらに踏み込むとの言及には憤懣やるかたない。

「FRBは低金利政策をとることで、米国だけでなく世界中で貯蓄の機能を歪めてきた。
貯蓄は、もちろん投資につながっている。
最終的には、これは実体経済の成長を削ぐものだと考えているが、FRBにはそれが理解できないのだろう。」
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ここまで切迫した危機感は、日本人からすると理解しがたいところがある。
日本のように擬似財政政策が当たり前のようになってしまうと、何が悪いのかさえ自分では理解できなくなってしまう。
まさに、私たちは薬物依存症患者の一側面を備えているのだ。
そうした患者からすれば、グロス氏の意見は頑なすぎるようにも見える。
本当に頑固すぎるだけなのか、頑固なまでにはねつけなければならない誘惑なのか、私たちの目が曇り切ってしまったのか。

(次ページ: FRB利上げ時期)