バーナンキ:FRB利上げの読み方

ベン・バーナンキ

ベン・バーナンキFRB前議長が、FOMC参加者の経済認識の変遷について分析している。
そこから、インフレ目標達成や利上げが足踏みする理由を説明している。

バーナンキ氏は自身のブログで、毎年6月に公表されるFOMC参加者の長期見通しを見直している。

y* u* r*
2016 1.8-2.0 4.7-5.0 3.0
2015 2.0-2.3 5.0-5.2 3.75
2014 2.1-2.3 5.2-5.5 3.75
2013 2.3-2.5 5.2-6.0 4.0
2012 2.5-2.5 5.2-6.0 4.25

出典: バーナンキ氏のブログ

y*: 産出量の長期見通し
u*: 失業率の長期見通し
r*: FF金利の長期見通し

一目瞭然なのは、いずれの見通しも4年続けて低下していることだ。
この低下の原因をバーナンキ氏はこう分析する。

  • 産出量見通し(y*)の低下
    潜在成長率は生産性(時間あたり産出量)の成長に大きく依存する。
    生産性の成長は近年、期待を裏切り続けてきた。
  • 失業率見通し(u*)の低下
    インフレが予想を下回ったことによる。
    フィリップス曲線は、失業率が継続してu*より低いとインフレが上昇すると示唆している。
  • 中立的なFF金利(r*)の低下
    潜在成長率の鈍化は資本投資のリターン、そしてr*の低下を示唆する。
    企業の投資は特に最近期待はずれの状況にある。

こう分析した上で、バーナンキ氏は、FOMC参加者の経済の見方が大きく変化していないと指摘する。
彼ら自身の見通しは(上表で示されているように)下方修正されてきているのに、彼らの感覚は昔のままなのである。

「彼らはいまだに(現在の政策金利がr*より低く)金融政策が経済を刺激すると考えている。
そして、(経済のたるみが減少し賃金と物価に上昇圧力がかかるにつれ)FOMCの2%インフレ目標に徐々に近づくと考えている。」

しかし、FOMC参加者は経済の重要なパラメーターについて見通しを引き下げてきている。
バーナンキ氏は、これが、インフレ目標の実現までに当初より長い時間がかかることを示しているという。
下方修正された経済のパラメーターを受け入れれば

  • 現在の政策は緩和的ではなく
  • 労働市場はそれほど引き締まっておらず
  • インフレ圧力は限定的

であることになるからだ。
バーナンキ氏は、FOMCがより緩和的な政策を選択するよう示唆している。

「経済をやや過熱気味に運営することが、長い期間を通してよりよい生産性をもたらす可能性は高い。」

こうした分析を実演した上で、中央銀行ウォッチャーに対し、講演・声明に注目するよりデータに目を向けるべきと説いている。