デービッド・アインホーン:低金利、過大債務、金投資

デービッド・アインホーン

Greenlight CapitalのDavid Einhorn氏が、広範なテーマのインタビューに応じている。
パッシブ戦略の性質や金融・財政政策と金投資などにコメントし、現状に慎重な姿勢をにじませた。

モメンタム相場とパッシブ運用

アインホーン氏のインタビューをForbesが伝えている。
内容は広範にわたるが、いくつかピックアップして紹介しよう。
まずは、投資戦略の本質についての議論。
アインホーン氏は、パッシブ戦略は、基本的にモメンタム戦略だと指摘している。

「株が上がれば、インデックスのウェイトが上がる。
インデックスのウェイトが上がれば、インデックスがもっと重要になる。
インデックスは上げ続ける。
それは後戻りしない。
すでに上がっている株式へのウェイトをさらに引き上げる。」

この現象自体はまったく問題なしとはしないものの、やむを得ないものだ。
問題は、株式指数に上方バイアスがかかりやすい点だ。

「パフォーマンスの悪い株式は、インデックスに占める重要性が減り、上げている他の銘柄との入れ替えでインデックスから外されてしまうこともある。
だから、モメンタムの効いた市場ではパッシブ戦略がうまくいき、それ以外の場合にはアクティブ戦略がうまくいく。」

そして、アインホーン氏は現状がモメンタム相場だと断言、銘柄を2つに分類した:

  • とてもとても割高な銘柄
  • ほとんどバリュエーションと無関係な銘柄

こうした極端な状況では、ファンダメンタルズから株価が議論されなくなると懸念している。

進む財政従属

アインホーン氏は経済安定化政策について、世界各国が悪しき循環に陥っていると指摘する。
短期的にみて、経済政策が経済成長に逆影響を与えているという。
金融政策が金融市場に作用するだけでなく財政政策にも影響を及ぼしていると語る。

「超低金利は、債務増大のインセンティブを生み出すもの。
その場合、政府は過大な債務を抱えるようインセンティブをつけられてしまう。
債務の返済負担が小さいから、世界中で財政赤字が拡大している。
これは、国家レベルでも地域レベルでもそうだし、年金もそうだし、国内外でも言えることだ。」

こうして拡大した過大な債務を維持するため、その一因であった低金利が求められるようになったという。
世界の多くの国が財政従属に陥っていると指摘している。

「そして、ソブリン危機が起こらないようにするために、低金利が維持されるようになってしまっている。
マイナス金利などの政策はこのためだ。
政府が使える予算を増やすためのものなのだ。」

金投資の是非

こうした状況は持続可能なのか。
アインホーン氏は持続可能ではないと考えている。
そして、リスク・オフの受け皿として金を挙げている。

「この最終的な結末は、遅かれ早かれ、どこかの国が行き過ぎてしまい、当局が状況をコントロールできない大きさの市場になってしまうことだろう。
そうなった時、大量の金を保有したいと考えるはずだ。」

アインホーン氏は、彼の語る財政破綻シナリオがすでに起きているのか、金価格は今後どう動くのかにはコメントしなかった。
「自身の能力はとても限られている」として、金について現状からのポジション変更をするつもりはないと語った。
金は、アインホーン氏の主戦場ではないようだ。

「もしも、(財政破綻シナリオが)始まっていて金が上がり始めているとすれば、それを追うつもりはない。
もっと安かった時に買うべきだったと考えるからだ。
今保有しているだけで満足し、何が起こるかを見たいと思う。
そして、(財政破綻シナリオが)極めて長い間実現しないことを祈っている。」