スティグリッツ:Appleのやりかたは詐欺

ジョゼフ・スティグリッツ

ジョゼフ・スティグリッツ教授が、米国株市場の象徴とも言えるAppleの税務・会計に牙をむいた。
課税逃れを許す税法を欠陥とし、それに乗じる企業活動を詐欺と批判した。

巨額の資金が海外にプールされている

ヒラリー・クリントン米大統領選 民主党候補のアドバイザーを務めるノーベル賞学者が、Bloomberg番組でAppleにかみついた。
海外に資金を留保させてしまっている現状を「明らかに欠陥」とし、小さな海外子会社に大きな利益を留保させているAppleのやり口を「詐欺」と断罪した。

「現在の会計基準は、企業が海外に資金を滞留させるのを奨励するようなものだ。
いわゆる移転価格という抜け穴を提供し、企業による資金の海外留保のみならず実質的な税金逃れを許している。」

Appleが保有する2,320億ドル(約23.6兆円)の現預金のうち2,150億ドル(約21.9兆円)は海外に置かれている。
日本の国家予算の2割に相当する気の遠くなるような額をAppleは海外にプールしている。
現地で課税される部分もあるものの、米国ではまだ課税されていない。
現地での課税については、アイルランドなど法人税率の低いロケーションを選ぶことでかなり節税できる。
アイルランドの法人税率は12.5%、米国は35%だ。
米国での課税については、米国に(配当として)送金されるまで課税されない。

移転価格のカラクリ

課税がなされないうちに、米本社と海外子会社の間では(資金繰りの都合に応じて)課税されない形での資金回収が行われている。
親子間のライセンスや経営指導などという名目で、子会社から親会社に支払いが行われる。
子会社はそれを損金に計上する。
親会社は、本来なら受取額全額が益金となるところを、受取額(=売上となる)のうち利益部分だけの益金計上で済んでしまう。
スティグリッツ教授が「移転価格」と言及したのはこのカラクリのことだ。

「この時価総額最大の会社は、米国だけでなく世界にまたがっている。
かつてのGMのピークより大きい。
それなのに、ほとんどの利益が数百人しかいないアイルランドで発生していると主張している。
(Appleウェブサイトでは5,500人とされている。)
これは、詐欺だ。」

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