スティグリッツ:金融政策は限界

ジョゼフ・スティグリッツ

ジョゼフ・スティグリッツ教授は日銀の「総括的な検証」に期待していないようだ。
金融政策の効果を発揮するには、実体経済の中の潜在的な債務者を明確に意識して、信用拡大を促す必要があると指摘している。

スティグリッツ教授は、「金融政策は限界に達した」と言い切った。
現状の金融政策は、成長に資する信用創造を促せないからだ。
金融政策を深掘りするなら、信用創造の余地が残っている経済主体を狙うべきと薦めている。

「金融政策が最大の効果を発揮するとすれば、これまで信用拡大を行ってこなかった中小企業などの債務者が信用拡大できるような有効な政策が実施される場合だ。」

教授は以前「実質金利が-3%や-4%になったとしても、何も起こらない」と語っている。
実質金利をいくら引き下げても、届くのは大企業どまりであり、そこからのトリクルダウンは起こっていない。
地域銀行を通して、中小企業に恩恵を届ける必要があると主張していた。

ここで疑問が生じるのは、米国ではなく日本の中小企業に資金需要があるかという点だ。
日本の銀行界は米国と比べて過当競争の状態にあり、中小企業に至るまで貸出合戦が続いてきた。
ここに良質の貸出案件が残っているとは思えない。
そうだとすれば、日本のどのような債務者が信用拡大の余地を残しているのか。
日銀は白川前総裁の時に「成長基盤強化を支援するための資金供給」という貸付制度を導入している。
すでに、それなりにがんばってきているのである。

スティグリッツ教授は、決して日本を悲観していない。
むしろ、実態を見れば悪くないという。
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「伝統的な知恵が指し示すほどには、日本は悪くない。
労働人口あたりの生産量の伸びでみると、日本の労働力の規模は調整していない。
生活水準を見れば、日本は悪くない。
日本を訪れてみれば、きっとそう思うし、日本が不況にある国とは思わないはずだ。」

近年、インフレ率だけでなくGDPの有用性を疑う声が増えた。
デフレが始まるまで、インフレは悪者だった。
経済の停滞とともにデフレが起こったため、デフレは悪とされているが、長い歴史の中でもそうした評価が定着するのかは疑問だ。
GDPは経済統計の傑作ともいうべきものだが、2つの意味で批判を浴びている。
経済・社会の変化にGDPは追いついているのか。
GDPは国民の幸福を指し示しているのか。

仮にリフレ政策がいきどまりとなるなら、日本は目標の正しさから問い直す必要に迫られよう。