スティグリッツ:日本は債務を永久債と交換しろ

ジョゼフ・スティグリッツ

ジョゼフ・スティグリッツ教授が、日本のとるべき経済プランを提案した。
日本はヘリコプター・マネーを含む債務リストラを行うか、国債が国内消化だから大丈夫と信じ込むか二者択一だと指摘した。

経済政策の目的は経済成長ではない

スティグリッツ教授は、常に経済の本質的な目的を忘れることがない。
World Economic Forumへの寄稿で

「経済成長はそれ自体が目的ではない。
私たちは生活水準を重視すべきだ。」

と書いている。
高齢化する先進国の実態を見るには、GDPの成長率を見てもだめという主張だ。
教授は、2008年以降の労働者1人あたりGDPの成長率で見れば、日本は欧米より優れていると指摘する。
それでも、日本は供給と需要の両面、実体経済と金融経済の両面に問題を抱えているという。
これまでの政策は失敗であり、代わりに実行すべき政策を提言している。

スティグリッツ教授は、まず「グリーン・ファイナンス」をともなう大規模な炭素税を提案する。
これが巨額の投資を生み、デフレを終わらせ、財政再建にも寄与すると言う。
あまりにもバラ色の話が語られているのだが、注目すべきはこの部分ではない。
注目すべきは、日本の財政問題への処方箋2法である。

方法1)債務リストラ

「日本政府が債務の一部を低利子の永久債と交換する。
これにより、その部分の債務リスクを完全に切り離すことができる。」

意味のある金額について、「低利」の永久債と既存債務を交換する債権者が本当にいるのかとの疑問が湧く。
この問題の難しい点は、教授の言うように日本の経済・財政が健全化すれば、時期は別として金利が上昇する点だ。
その時、「低利」永久債は激しい減価を迎える。
例えば、永久債の利回りを1%で債権者と合意できたとして、その後、実勢金利が3%となれば、永久債の時価は1/3に下がる。
3%という想定は潜在成長率1%、インフレ率2%というイメージの話である。
ほとんどの投資家が奮えあがるリスクだ。
こうした危惧に対し、スティグリッツ教授は一応の答を用意している。

「(この交換が)インフレを引き起こすと心配する人がいるだろう。
しかし、日本の倒錯した経済では、インフレこそまさに必要なのだ。
私は、金利が突然上昇するという心配はあまりにも大げさだと思う。
しかし、念には念を入れて、過剰なインフレ圧力が発現するまで、政府は債務を毎年5%ずつ交換していけばよい。」

こうした策は確かにある程度有効かもしれない。
しかし、やはりリスクは大きく、たとえGPIFでも大きな額の交換には応じないはずだ。

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