スティグリッツ:トランプノミクスで格差拡大へ

ジョゼフ・スティグリッツ

ジョゼフ・スティグリッツ教授が、トランプ次期大統領と共和党の経済政策を批判した。
格差の原因を作った側が勝利し、さらに格差を拡大する政策をとろうとしているのだという。

トランプ勝利の矛盾

クリントン陣営の経済顧問も務めたスティグリッツ教授が東洋経済のインタビューで、トランプ氏と共和党の経済政策を批判した。
格差拡大に不満を持つ選挙民がトランプ氏と共和党を選んでしまう矛盾を嘆いている。
教授は「皮肉にも国民を苦境にさらしてきたのは共和党」だとし、その共和党が大統領・上下両院で勝利したことを奇妙と語る。

《格差拡大が問題だから保護貿易》という主張がトランプ氏を勝利に導いた。
しかし、この主張には2つの矛盾がある。

  • 保護主義は米経済を害する。
    輸入物価上昇が家計にのしかかると考えれば、格差問題は一層厳しくなりかねない。
  • 「(自由)貿易協定が経済に打撃を与えた理由の一つは、政府が失業者の転職を支援してこなかったことにある。共和党がノーと言い続けてきた。」
    自由貿易の進展とともに必要な労働力の再配置が潤滑に進むよう、人的資本の向上に努めるべきだったとの指摘だ。

スティグリッツ教授からすれば、格差拡大の犯人が格差拡大に結び付く施策を公約にして選挙に勝ってしまったのだ。
確かにこれは奇妙だ。

不動産屋や投資家ばかり?

トランプ氏が大統領に就任しても、おかしな展開が続くのかもしれない。
そもそもトランプ氏の周囲に国民を幸福にするための経済政策を考える人材はいない。

「私が知るかぎり、彼のアドバイザーはヘッジファンドやウォール街の関係者ばかりで、経済学者はせいぜい1人。
彼の周辺には経済システムを理解する人がいないのだ。株式取引や投機売買なら知っているかもしれないがね。」

これまでの組閣人事の噂を聞く限り、トランプ政権は不動産屋と投資家の寄り合い所帯になりそうだ。
教授の心配は皮肉でも杞憂でもないだろう。

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