ジム・ロジャーズ:AIより世界経済

ジム・ロジャーズ

冒険投資家ジム・ロジャーズ氏が日本経済新聞のインタビューでAIの投資分野での活用についてコメントした。
当面は投資活動には人間が必要だとし、それより世界で進む債務拡大の方が重大問題だと語った。

ロジャーズ氏はAIが投資をどう変えるかと問われ、AIが人知を超えれば投資をAIに任せると言っている。
しかし、まだその時ではないと言う。
AIがデータを収集・処理することはできても、それをどういう投資行動に結びつけるかは、まだ⼈間によるプログラムが必要だからだ。

「私は1980年代に中国を訪れ、中国⼈とふれあい、21世紀は中国の時代だと気づいた。
・・・
コンピューターにはこうした直感的な嗅覚はない。」

ロジャーズ氏は自分の居場所について迷いがない。
直観的な嗅覚を備え、さらにコンピューターとは分野・銘柄をすみ分けている。

「街を歩き、中国やロシアを訪れ、新聞を読む。
そこから得たひらめきが投資につながる。
後は昔ながらの徹底的なファンダメンタルズの分析だ。
・・・
コンピューターが取りこぼした優良銘柄を地道な調査と分析で⾒つけるのが私のやり⽅だ。」

しかし、人間が勝てる分野がだんだん狭くなっていくこともロジャーズ氏は覚悟している。
状況変化を前向きにとらえ、それが人類の生活を大きく変化させると予想している。

「AIの⽅が賢ければ、⼈が競う意味はない。
多くの⼈は働く必要がなくなり、ビーチで寝ているか、スポーツに精を出すか、ギリシャの哲学者のように読書や議論に明け暮れる知的⽣活を送るだろう。」

人間はロジャーズ氏の言うように楽をする側に立てるだろうか。
一部の人間を除いて隷属する側に回るのではないか。
この20年を振り返れば、どうも分が悪いような気がする。
情報技術が社会の格差を拡大した一因との見方は多い。
つまり、勝ち組になれなければ、カネも仕事もない人生が待っているかもしれない。

では、こうした変化をリードするのは誰か。
ロジャーズ氏は、「人口が既に減少している日本や、教育水準が下がっている欧米諸国」には無理で、「教育水準が⾼く、人口が多いため優秀なエンジニアを数多く輩出できる」中国が勝ち組になると予想している。

AIの話はロジャーズ氏からすればかなり遠すぎるテーマだったようだ。
インタビューの申し込みを受けた時、《なぜ自分に》と思ったのではないか。
ロジャーズ氏にとっては、遠い未来ではなく、足元の世界経済の方が重大問題だ。
とりわけ、先進国や中国での債務拡大は大きなリスク要因だ。

「米国の利上げだけでなく、市場に金利上昇の圧力がたまっている。
危機に陥ったら2008年の世界金融危機よりずっと深刻になるだろう。
この問題を解決する人工知能はまだ発明されていない。」