ジム・チャノス:シェール開発は金を捨てるようなもの

ジム・チャノス

息の長い空売りで有名なKynikos AssociatesのJim Chanos氏が、ターゲットの一つ、シェール産業について解説している。
多くの企業が採用するフル・コスト法が、産業の本来の姿を覆い隠していると指摘した。

チャノス氏が講演会でシェール産業について語ったとYahoo Fincnaceが伝えている。
北米の石油・ガスE&P(掘削・生産)は「投資家にとって資本の排水口」なのだという。
空売りで稼ぐヘッジ・ファンド・マネージャーだとは言え、チャノス氏はファンダメンタルズに基づく理詰めの投資で有名。
その理屈を傾聴する価値はあるだろう。

チャノス氏は、シェール産業を初めから批判的に見ていたといい、2011年にはChesapeake Energy株をショートしている。
問題は地質にあるのではなく、産業の会計慣行にあるのだという。
フル・コスト法と呼ばれるもので、支出を費用計上せず資産計上し、油井・ガス井の予想寿命で消却していくという会計方法だ。
売上と費用の期間を一致させることで、真実の損益を表示させようという建前なのだが、チャノス氏はこれを詭弁と非難している。

「原油価格が40ドル、100ドル、40ドルと動き、天然ガスが4ドル、12ドル、2ドル、6ドル、3ドルと動いた期間、北米のE&Pは1セントも儲かっていない。

さらに、資本を適切に配分し、経済的寿命に応じて油井・ガス井を経済的に消却すれば、リターンはない。
EBITDAから安定した生産を維持するための真の資本的支出を差し引いた金額はマイナスだ。」

チャノス氏が指摘した企業群においては、事業を維持するために経常的なキャッシュ・アウトが起こるのである。
事業開始時の投資は永遠に回収できないばかりか、資産を積み上げるごとに将来のキャッシュ・アウトを増やしてしまう。
経常的なキャッシュ・アウトを補うために新たな開発に着手し、外部から資金調達をしなければならない。
実質的に赤字を埋めるための資金調達であり、自転車操業だ。

さらに、チャノス氏はガバナンス上の問題点を挙げる。

「株主総会招集通知を見ると、経営陣の多くが生産量についてインセンティブを与えられている。
ただ掘り続けるためのインセンティブになっている。」

経済的な利益が得られるかわからないのに、掘り続けることにインセンティブが与えられている。
掘ることが目的とされ、利益を上げることが二の次になりかねない。

わずかな望みは、エネルギー価格が上昇し高止まりすることだろうか。
チャノス氏はそれが望み薄として、このセクターを気長にショートしているのである。