ジェフリー・サックス:非合法な戦争を続ける米国

ジェフリー・サックス

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、シリアにおけるオバマ政権と軍部の暴走を厳しく批判している。
以前、教授はISとの闘いで本気度の足りない西側諸国を問題視したが、今回は民主的な手続きを経ない諜報・軍事活動を非難している。

サックス教授が「地球上で最も危険で破壊的な危機」と呼ぶシリア内戦についてProject Syndicateに書いている。
戦争やテロ、難民だけでなく、西側とロシアの衝突さえ招きかねない重大な事象にもかかわらず、オバマ政権は米国の関与を米国民に対して隠し続けていると批判する。
誰が資金を提供し、武器を供与し、訓練し、扇動したのか。
こうした事実が明らかになれば、多くの国は無謀な行動を取りやめるだろうという。
サックス教授は

「広く知られた、誤った認識は、オバマ大統領が米国のシリア戦争への関与を避けてきたというものだ。」

と指摘する。
政権も西側の大手メディアも、米国がシリア戦争に関与していないかのようにふるまっているという。
しかし、そうした「カーテン」にもほころびがある。
時折、伝わるシリアの内情の報道の中には、CIA・米軍の関与なしにはつじつまが合わないものが含まれている。

「ペンタゴンは前線に立っていることを常に否定する。
しかし、最近ロシアとアサド政権がシリア北部の反政府勢力の拠点を爆撃・砲撃した時は、米国はクレムリンに対して、攻撃が現地の米軍部隊を危険にさらすと通知している。
大衆は、その(部隊の)使命・費用・シリア側のパートナーについて全く説明を受けていない。」

サックス教授は、こうした作戦活動やその費用支出等が、国民や議会の承認を得ることなく実施されていることを厳しく批判している。
CIAが何をやっているのか何ら説明もなく、正当性も証明されていない。
米軍の活動の合法性について、米国にも世界にも説明さえないのだ。
まさに、形だけの文民統制であり、仮に少数の文民しか意思決定に関与していないなら、むしろ軍政というべきものであろう。
サックス教授は、米国の軍産複合体の言い分を紹介する:

「なぜ、米国は米国のやることを公表しなければならないのか?
そんなことをすれば、作戦を危うくし、敵を利するだけだ。
大衆は知る必要などない。」

こうした考えは、サックス教授の考えとは真っ向から反するものだ。
教授は、戦争とは最後の手段であり、民主的な検証によって統治されるべきと考えている。
こうした信念から、米国のシリアでの秘密戦争は米憲法や国連憲章に反すると断じている。

「米国主導のアサド打倒の動きは、シリア国民を守るためのものではなく、オバマ大統領やクリントン氏がしばしば言うように、イランやロシアに対する米国の代理戦争なのだ。」

サックス教授は、代理戦争であるがゆえに、一歩間違えば突発的にロシアとの軍事衝突に発展しうると警鐘を鳴らす。

真実を知れば、米国民はシリア戦争にNoを出すはずとサックス教授は信じている。
だからこそ、米政府は真実を隠し続けるのだという。
任期満了の迫るオバマ大統領に、サックス教授は最後の希望を述べている。

「オバマは、壊れた遺産を治すのに、数か月任期を残している。
彼がまずやるべきは、米国民に真実を伝えることだ。」