サマーズ:銀行のリスクが高まる

ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)がブルッキングス研究所の紀要の中で、金融機関のリスク調査を公表している。
リーマン危機後の金融規制でも、銀行のリスクはむしろ高まった可能性があると指摘している。

サマーズ氏と共同研究者は、リーマン危機前と現在で、米金融機関の脆弱性を調査している。
ドッド・フランク法など金融規制強化があったにもかかわらず、金融機関の脆弱性は減らず、むしろ高まったとの結果が得られたのだという。
ただし、こうした規制強化がなかった場合、脆弱性はさらに悪化していただろうと述べている。

一方、サマーズ氏はさらなる規制強化については懐疑的だ。

「銀行のリスクが増え、実質的にレバレッジを高めた主たる理由は、銀行のフランチャイズの価値が低下した点にある。
深く研究したわけではないが、予想されるのは、フランチャイズの価値低下の主たる理由が現在の規制と将来の規制の見通しにあるだろうということ。
さらに銀行のフランチャイズの価値を下げれば、さらなる規制強化が実質的にシステミック・リスクを増大させることになりかねない。」

サマーズ氏は、金融監督において会計情報を用いることの限界にも触れている。
銀行会計には遅れがあり、それが必要な銀行の増資を手遅れにしかねないと指摘する。

「銀行の会計は、問題を認識するのを遅らせる可能性がある。
信頼が傷つくのを恐れて、増資を遅らせる言い訳になってしまう。」

サマーズ氏は、資産価格の指標として市場価格をより重視し、銀行の資本が低下し始めたら自動的に対策を発動させるような手法を検討すべきと提案している。

サマーズ氏が銀行のリスクを今論じるのは偶然だろうか。
それとも、危機とまでは言わなくとも、何かを予感してのことだろうか。

リーマン危機でも揺るがなかった日本の銀行についてはどうだろう。
あいかわらず盤石と言えるだろうか。
《規制強化》という言葉を《マイナス金利》に置き換えると、不気味なほど違和感がないのはただの錯覚だろうか。