サマーズ:世界は未踏の危険な領域へ

ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、世界経済に対しいつになく強い危機感を表明している。
この危機に対応するため、インフラ投資を行い、国際間の資本移動を監視すべきと主張している。

サマーズ氏はThe Washington Postに寄せたコラムで、現状はリーマン危機や欧州金融危機のように目に見えた危機にこそないものの、広範に指導者たちが支持を失い、世界経済は未踏の危険な領域に入りつつあるとした。
世界的な経済減速の中、中央銀行の金融政策にも限界が感じられ、不況が来てしまっても利下げの余地は残っていない。
FRBは足早に利上げできる状況になく、利下げの余地は数年は生まれないと予想されている。
貯蓄は溢れ、投資は不足し、停滞は一時的ではなく趨勢的だと、サマーズ氏は趨勢的停滞論を強調する。
こうした環境から社会の不和が生じる。

「年々経済成長が足りず、恩恵を受けるのが人口のごく一部だとすれば、選挙民が怒るのも当たり前だ。」

怒りの結果はBrexit、トランプ氏・サンダース氏の躍進、欧州での極右台頭、プーチン大統領の盤石な基盤、中国での毛沢東主義だ。
こうしたポピュリズムの台頭は、当然ながら政治に強い影響を及ぼす。

「具体的には、これは投資の経済のために緊縮の経済を拒絶することを意味する。
市場が、過度のインフレより過小なインフレを次世代の問題だと言っている今、中央銀行は需要拡大を主たる目標とし政府と協力する必要に迫られている。」

このロジックから、サマーズ氏は持論であるインフラ投資拡大を主張する。
国内経済を拡大させるのみでなく、海外には「投資需要の改善と中間層の預金者へのリターン改善」をもたらすという。

「一般的に、国際的な経済協力の焦点は資本にとっての機会から労働にとってのよりよい成果へとシフトしていかなければならない。」

サマーズ氏は、資本偏重をもたらす「資本移動のダーク・サイド」をいくつか挙げている。
マネー・ロンダリング、規制間アービトラージ、節税・脱税だ。