サマーズ:インフラ投資で停滞からの脱出を

ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、インフラ投資の増額を主張している。
GDPの1%程度のインフラ投資によって趨勢的停滞からの脱出を図るべきとの意見だ。

サマーズ氏が10年で計2.5兆ドルのインフラ投資を提案したとBloombergが伝えている。
GDPの1%に当たるこの数字は、経済に意味のあるインパクトを及ぼしうる一方、政府財政にはさほど問題にならない規模だという。

「考えるまでもない。
(インフラ投資を進める理由は)雇用の創出、短期の需要、中期的供給力、政府財政健全化のための経済成長などだ。」

金利も原材料価格も低く、大卒未満男性の雇用が求められている現在は、インフラ投資の好機だという。
典型的な上げ潮派の議論である。
とは言え、これには米国ならではの事情もある。

「インフラ投資対GDP比率は1947年以来で最低だ。
連邦政府のネット・インフラ投資(= 投資-減価償却)は四捨五入するとゼロだ。」

米連邦政府は日欧などと比べ、とても「小さな政府」だ。
そうした意味では、財政出動の余地は日欧と比べてかなり大きい。
しかも、米国債の需要は(中央銀行による買いに頼らなくても)今のところ底堅い。

その他、サマーズ氏は重要な点をいくつかコメントしている。

  • 政府債務は高水準なのに、現在の金利水準のおかげで、返済負担は異常に軽い。
  • ドイツなど欧州の多くの国は米国と同様、建物・道路・橋などへの投資を積極化すべきだ。
  • (オバマ大統領は不可能と思われたヘルス・ケア法案を通したのだから)TPP法案はまだ通過の可能性がある。
  • FRBは利上げすべきでない。

サマーズ氏は、米大統領選でトランプ候補が勝利する可能性は極めて低いと語った。
その一方で、南米のようなポピュリズムが米国にも起こるとは思っていなかったと明かし、ポピュリズムの危険性を指摘した。