ゴールドマン:FRBが両刀使いを続けるワケ

Goldman-Sachs

ゴールドマン・サックスが、引き続きドル相場にドル高圧力が加わり続けると予想している。
FRBは金融政策正常化と為替への影響を睨みながら、市場へメッセージを発信していると解説した。

先月のジャクソン・ホール以降、ドル高傾向が鮮明になっている。
イエレン議長をはじめとするFRB高官が繰り返し利上げを示唆する中、米金利上昇による米ドル高が予想されるためだ。
昨日の米市場では一時104円台をつける場面もあった。
これまで、利上げ・ドル高に強気な見方を続けてきたゴールドマン・サックスはeFXへの寄稿で、ある難題を提起している。

「あまりにタカ派的なメッセージを送れば、ドルは急騰してしまう。
結果、デフレ・ショックが成長を弱め、当初タカ派的になりえた根拠を奪ってしまう。」

まさに、経済政策に依存しきってしまった経済の脆弱さを示す話だろう。
1ラウンドだけで終わるはずのQEがすでに3ラウンドに及んだことと同じ文脈の出来事だ。
強力な市場操作に弊害がともなうことは皆が気づいているのに、対処法となると、それとは真逆の方向性が出てくるようだ。

「この難題に取り組むために、FRBの中で収束しつつある考え方は、《R*(均衡金利)が低い》というものだ。
結果、政策金利こそ低いものの、金融緩和政策の程度が控えめであったとしている。」

FRB高官の中には、R*が想定より低下しているから金融緩和が不足してきたと主張する人がいる。
一方で、このところの大勢は利上げ示唆である。
もちろん、同一の高官が述べたものではないが、少々二枚舌が過ぎるようにも感じてしまう。
そのカラクリをゴールドマンが解説してくれる。

そもそも、均衡金利とか中立金利とかいうものは、高い精度で計測できるものではない。
仮に均衡金利が下がった可能性を認める場合でも、現在の政策金利との大小関係について十分な精度での判断はできまい。
ゴールドマンは、細かな話に惑わされず、大局を見据えるよう勧める。
大局とは:

  • FRBがタカ派になるごとに、大きなドル高圧力が加わる。
  • FRBはR*が低いとの考えに収束しつつある。
    FRBは市場に対し、今回の利上げサイクルの幅が小さいと信じさせることで、ドルの上値を限定的にしたいと考えているのだろう。
  • インフレが高進すれば、利上げ幅が小さいとのコンセンサスは終わる。
    米国が多少のドル高に耐えられるようになれば、いつでもFRBはブレーキから足を外すだろう。

まとめると、ゴールドマンの推測はこうだ。
経済の状態・インフレの推移から見て、金融政策の正常化が望ましい。
しかし、利上げでドル高が進みすぎるのは困る。
だから、ハト派的な中立金利の話を織り交ぜる。
それもこれも、インフレが高進すれば話は別で、FRBは利上げでの対抗を検討せざるをえない。