ゴールドマン:日銀はイールド・カーブを制御できない

Goldman-Sachs

ゴールドマン・サックスは、日銀の「総括的な検証」の本質をテイパリングへの地ならしと考えている。
イールドカーブ・コントロールは、為替への悪影響を避けるため市場の関心を逸らす陽動作戦だという。

ゴールドマンが顧客に配布したメモをNasdaqが伝えている。
ゴールドマンは、日銀が新たに導入する「イールドカーブ・コントロール」について、具体的にどのように実行できるのか疑問を呈している。

「問題は、将来金融・経済環境が変化した時に、どのように(イールド・カーブの)全体水準・形状をコントロールするのかだ。
国債市場は日銀の意図を理解するのに時間がかかり、その間、金利変動は小さくなるだろう。
実体経済・金融の状況を映す鏡としての金利のプライシング機能は、ますます失われていくだろう。」

3文目は心配するに値しない。
その機能はとうに失われている。
日本の金利を見て日本経済の状況を測るのは不可能だ。

主たる問題は1文目だろう。
「将来金融・経済環境が変化した時」とは、経済が上向いたりインフレが立ち上がり始めたりする時を想定しているのであろう。
名目金利に上昇圧力がかかり始めた時、日銀は現状並みに金利を低位に抑え込めるのか。
そのためには限度を定めず国債を買い入れることになるが、日銀の財務なども考慮して果たして可能なのか。
こうした疑問を抱くゴールドマンは、日銀の真意を推測している。

「黒田総裁は否定するだろうが、イールドカーブ・コントロール導入は、将来の国債買入れのテイパリングへの地ならしだと考えている。
フレームワークの大きな変更により、日銀は市場の注目をイールドカーブ・コントロールに引きつけ、徐々に舞台裏でテイパリングに向かうと考えている。」

日銀の「総括的な検証」について、緩和強化ではなくテイパリング(量的緩和縮小)であるととる人は多い。
突き詰めて考えれば、論理的にはそう解釈せざるをえないからだ。
では、なぜ、日銀はそう明言できないのか。
ゴールドマンは、ソロス・チャートにその理由があると見ている。

「多くの市場参加者が為替レートを2国間のマネタリー・ベースの比に基づき予想しているため、テイパリングには大きなリスクがともなう。
そのため、日銀はなるべく早く市場の関心を(マネタリー・ベースから)逸らす必要があると判断したのだろう。」

陽動作戦とは、週刊誌ばりの深読みである。