コチャラコタ:景気回復すれば利上げで挫かれてしまう?

ナラヤナ・コチャラコタ

Narayana Kocherlakota前ミネアポリス連銀総裁が、伸び悩む生産性向上策について提案している。
従来からの供給サイドの施策だけではなく、需要サイドに働きかけることが重要だという。

コチャラコタ氏は、前回の不況開始から8年が経った今の状況を「予想したより悪い」とBloombergで総括している。
そう言いながらも、「一服の楽観が必要だ」という。
今回のコチャラコタ氏の注目点は、先進各国を悩ませている生産性の伸び悩みだ。
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「エコノミストは往々にしていわゆる供給サイドの解決法(減税や規制緩和など)を提案する。
しかし、需要サイドの刺激を狙った政策が大きな助けになることを知っておくべきだ。」

成長戦略だとか構造改革だとか言うと、真っ先に出てくるのは減税や規制緩和だ。
なぜ真っ先に出てくるかといえば、それで利益を得る圧力団体、つまり財界が存在するからだ。
本当に国家が誤ったことをやっているなら、徴税やルールを緩和することは正解だろう。
しかし、国家の大きさやルールが適正または過小であるとするなら、減税や規制緩和は改悪になりかねない。

今回コチャラコタ氏が提起したのは、こうした供給サイドの施策ではない。
同じ目標を需要サイドの施策で実現しろというものだ。
コチャラコタ氏は、需要成長が現状より加速すると企業に信じ込ませるような施策が有効と主張する。
それができれば、企業は固定資本や技術革新への投資を増やすだろうし、雇用増や賃金増にも結び付くだろう。

ここで、コチャラコタ氏は自問する。
仮にいい循環を実現できても、それがインフレを生み、FRBが利上げし、結局は成長が阻害されてしまうのではないか。
この問いに対するコチャラコタ氏の答が「楽観」なのだ。
いい循環が実現しても大きなインフレ圧力につながらないと予想する3つの理由を挙げている:

  • 働き盛り(25-54歳)の雇用が2007年と比べて低いままであり、労働市場に潜在的労働者を呼び戻すのに必要な賃上げは小さくてすみそう。
  • 企業収益は歴史的水準から見て依然高く、企業が値上げせずともある程度の賃上げを吸収できそうなこと。
  • より多い、よりよい資本によって、労働者は単位時間により多くを産出できるようになるため、値上げをせずとも賃上げができる。

こうした楽観を受け入れるかどうかは別として、興味を抱くのはどうやって需要成長への期待を高められるのかだろう。
コチャラコタ氏は、数兆ドル規模のインフラ投資を例に挙げている。
つまりは財政拡大である。
米国と日本ではこの点の妥当性の尺度は同じではないので、判断は難しい。
しかし、多くの日本人・ヨーロッパ人は、米国が小さすぎる政府であると考えているのではないか。
コチャラコタ氏は

「楽観主義者は間違っているかもしれない。
しかし、不作為も同じように大きなリスクがともなう。」

と楽観を勧めている。