ケビン・ウォーシュ:FRBは山を下りろ

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FRB元理事のKevin Warsh氏が、ハト派の学者が唱えるインフレ目標の引き上げに反対している。
目標引上げは証券界を喜ばすだけで、何ら本質的な解決にならないと説いている。

日本と米国では、状況は大きく異なる。
しかし、決して他人事とは言えない。

米国では利上げを巡って依然、熾烈な論争が続いている。
ローレンス・サマーズ氏ポール・クルーグマン教授などハト派の学者らは、利上げを否定するだけでなく、インフレ目標の引き上げさえ主張している。
ウォーシュ氏はWSJへの寄稿で、こうした主張にくぎを刺す。

「世界の政策決定者らは、現在インフレ目標が未達となっていることについて予想もできなければ、理由を説明することもできない。
多くの学者が現状の2%のインフレ目標を3-4%に引き上げるよう主張しているのは困ったことだ。
経済学のギルドの話をすれば、FRB高官は、最近の金融政策の発明が経済の病気を癒すという約束とともに高峰から下山すべきだ。」

FRBは自らの非を認め、ゆめゆめ学者の甘言に乗ってインフレ目標の引き上げを採用しないよう主張しているのである。
ウォーシュ氏は、インフレ目標引上げはタイミングも理由も間違っているという。

  • 証券界を喜ばすだけで、家計が被害を受ける。
  • 本質的な改革ではなく、金融・財政政策や規制の誤りから目を逸らしてしまう。

こうした誤った判断に陥らないよう、FRBは

  • 仲間うちの学者だけで考えるのをやめ
  • 拡大しすぎた権限・責任範囲を元に戻すべき

と論じている。

ウォーシュ氏は、リーマン危機後、FRBが数兆ドルものバランスシート拡大を余儀なくされた点を指摘する。
そして、今や金融政策の目的が株価など資産価格の管理にあるように見えるという。
経済が回復しても、停滞しても(こちらの方が可能性が高い)、FRBは政治・国民から厳しい非難を受けることになると予想している。

こうした諫言は、まだリフレ派の声が大きい日欧こそ耳を傾けるべきではないか。
最近のFRB高官の発言を聞く限り、インフレ目標を引き上げるという方向性は考えにくい。
しかし、日銀において、リフレ派が既定路線に固執し倍賭けの勝負に出るなら、インフレ目標引き上げの可能性はゼロとは言えない。
そうした可能性は、今月の20-21日の「総括的な検証」におけるリスク・シナリオと言えるかもしれない。