ケネス・ロゴフ:中国にハード・ランディングの懸念

ケネス・ロゴフ

国家は破綻する』の著書で世界各国の財政政策に大きな影響を与えたハーバード大学 Kenneth Rogoff教授が、中国のハード・ランディングの可能性を指摘した。
また、各国中央銀行の独立性が危機に瀕し、ヘリコプター・マネーを求める声が高まっている点を心配した。

「(中国)経済は公式の統計が示すよりはるかに大きく減速している。」

かつてIMFでチーフ・エコノミストを務めたロゴフ教授はBBCのインタビューで、中国経済の前途は険しいと語った。
中国は債務問題を抱えた経済の典型例と言い、信用創造に依存した経済成長は永遠には続かないと指摘した。
教授は、楽観論者の決まり文句を紹介する。

「みんな
『中国は違う。
国家がすべてを所有し、コントロールすることができる。』
と言う。」

著書『国家は破綻する』でも指摘されたように、「This time is different.(今回は違う)」はいつも真とは限らない。
経験則にかなうものは多くの事例で真となるわけだが、それでも、いくつもの例外を抱えるのが常。
その例外が起こってしまった時、社会や市場は驚き、大きな打撃を受けることになる。
ロゴフ教授は、中国についてもこの例外の可能性を除外できないと考えている。

「ある程度ではあるが、中国のハード・ランディングは間違いなく懸念事項だ。
すでにかなり乱暴な着地が始まりつつあり、中国でさらに問題が大きくならないか心配だ。」

金融政策の限界

ロゴフ教授は金融政策の限界を指摘し、(金融政策は)「万能薬ではない」と語る。
中央銀行がこれまで意図されていなかった役割まで果たすように求められているからだ。

「金融政策は年老いた経済を若返らせることはできない。
イノベーションに乏しい経済が突如イノベーションを発揮するようにはできない。
ゾンビ状態の銀行セクターを抱える経済を奇跡的に健全にすることはできない。」

構造問題に根差す経済問題まで、金融政策への期待が高まる。
構造改革が進まないために負う経済成長の不足分を、金融政策による経済刺激で賄えといった具合だ。
その極端な議論がすでに起こっている。

「紙幣を印刷し国民にばらまくヘリコプター・マネーが求められている。」

ロゴフ教授は、中央銀行が独立性を失い、さらに擬似財政政策に踏み出すのではないかと心配している。

「欧州では中央銀行が社債市場のかなりの部分を買い入れている。
これは、中国、インド、そして日本で行われているものだ。」