グリーンスパン:ドッド・フランク法は廃止すべき

アラン・グリーンスパン

グリーンスパン元FRB議長が、リーマン危機後の金融規制改革への批判を強めている。
ドッド・フランク法は効果を発揮していないとし、廃止を求めた。

グリーンスパン氏はBloombergで、オブラートに包むことなくドッド・フランク法を批判した。

「この法案は全く役に立たない。
廃止を願っている。」

グリーンスパン氏は現行の金融規制を批判するが、米社会においてはFRB議長時代のグリーンスパン氏を批判する考えの方がはるかに多い。
グリーンスパン体制の銀行放任主義が世界金融危機の一因となったとの見方だ。
リーマン危機を目の当たりにして、そのことは本人も認めていた。
それでも、グリーンスパン氏はドッド・フランク法による金融規制強化に強く反対している。
その論拠は何なのか。

「銀行に自己資本比率20-30%を求めればいい。
それでは銀行システムが縮小してしまうとみんな言うだろう。
ある程度そうなるだろうが、それでなくなる貸出はそもそもあるべきではなかったんだ。」

ドッド・フランク法のアプローチは、資本・流動性・レバレッジに規制をかけた上で、ストレス・テストで個別行の中身を監視していこうという考えだ。
グリーンスパン氏の考えは、個別行レベルの失敗が起こることを前提とし、それでもその銀行が破たんしないよう、あるいは、破綻した場合でも金融システムにまで及ばないよう、資本規制を厳格化しろということだ。

「ドッド・フランク法があろうが、デフォルトの連鎖は依然起こりうる。
本当にそうなら、何も行われていないのと同じだ。

一方、銀行に十分に高い自己資本比率を義務づければ、デフォルトの連鎖は起こりえなくなる。」

ドッド・フランク法については、米共和党が経済成長の阻害要因になるとして批判を強めている。
一方、ローレンス・サマーズ氏は同法が施行されても、銀行は脆弱になったと指摘した。
サマーズ氏は、同法がなければ状況はさらに悪かったろうと考えている。

どちらのアプローチが正しいのかという視点の他に、なぜ今議論されているのかという視点を持つべきなのだろう。
米経済が回復しつつあると言われる中、銀行システムが心配されている。
たくさんの批判を浴びながらもFRBが利上げに執念を見せるのも金融安定を意識してのことだ。
米経済の30年超に及ぶ金利低下局面が曲がり角にある。
金融市場は正常化を試すが、その道のりが平坦で済むのか予断を許さない。