クルーグマン:FRBを止めろ!

ポール・クルーグマン

ポール・クルーグマン教授が、FRBは自己満足に浸っていると批判している。
FOMCメンバーやイエレン議長が利上げ示唆を繰り返す中、「リーマン危機前の過ちを繰り返すのか?」と問うている。

クルーグマン教授は、自身のブログの中で、FRBの利上げシナリオと次の不況到来のタイミングについて懸念を示している。
FRBは、不況が来るまでに十分な利下げができる水準まで政策金利が戻っていると想定しているようだという。
しかし、例えば、中立金利が過去より低下しているなどの事情があれば、FRBの想定は誤りになるという。

そして、1999年のFRB高官による予想を紹介する。
2%のインフレ目標を設定すれば、ゼロ金利にある期間は5%ですみ、ゼロ金利制約の期間は4四半期ですむというものだった。
蓋を開ければ、ゼロ金利制約は32四半期に及んでいる。

クルーグマン教授が言いたいのは
・利上げするな
・インフレ目標を引き上げろ
であろう。
他の条件を無視して、とにかく拡張的金融政策を取るべきと主張するハト派に共通するものだ。

次の不況でFRBが利下げ余地を持たないだろうとの見方は、確度の高い予想だろう。
かなり前から、ローレンス・サマーズ元米財務長官も懸念していた。
サマーズ氏の主張は、財政政策や海外当局の出動が重要というものだ。

FRBの方はどうか。
金曜日のジャクソン・ホールでは、イエレン議長がこう言及した。

「将来の政策決定者は、他の中央銀行で用いられた付加的な手段の検討を選択するかもしれない。
そうした手段をFRBの手段に加えるには、慎重なコスト・ベネフィットの比較が必要だ。
ケースによっては、法制化が必要になるだろう。」

議長は、将来的なマイナス金利・擬似財政政策(社債・株式等の買入れ)の可能性を否定しなかったのである。
これは、次の不況期までに、利下げ余地が十分得られないであろうことへの危惧の現れであろう。
もしも、FRBが、何の迷いも心配もなく利上げに舵を切っているなら、何も「付加的な手段」の話など出す必要はない。

ちなみに、イエレン議長の「付加的な手段」にかみついたのが、債券王ビル・グロス氏だ。
金融市場の正常化を望むタカ派は、これ以上の緩和ツールは我慢ならないようだ。