クルーグマン:金融政策の効果は薄い

ポール・クルーグマン

ポール・クルーグマン教授が、現状の各国の金融緩和策の効果について「極めて薄い」とダメ出しした。
高インフレの到来を信じさせることができなかったため、状況は振り出しに戻ってしまったと語った。

クルーグマン教授は、過去数年の各国の金融緩和がたいして効果を及ぼさなかったと指摘している。

「証拠の積み重ねによれば、金融政策は相当に効果が薄い。
金利がゼロ近傍になれば金融政策は効果がなくなるし、量的緩和や(私が可能とは考えていなかった)マイナス金利もたいして役に立っていない。」

クルーグマン教授は、状況が振り出しに戻ってしまったようだと嘆く。
リフレ派の理論的支柱とされてきた教授が金融政策を否定している。
では、何をすべきだったのか。

「やるべきだったのは、信じてもらえるように高インフレを約束することだった。
方法は、回復後のレジームの変化を印象付けるだけでよかった。
それができれば、金融政策は効果を発揮しただろう。」

各国政府・中央銀行が「レジームの変化」を信じ込ませることができなかったとの言い分である。
具体的には、高インフレの約束を信じてもらえなかったことが失敗だったのだ。
しかし、これを中央銀行の失敗とするのは酷だろう。
クルーグマン教授の主張するやりかたが、そもそも実現不可能な方法であったかもしれないからだ。
実現不可能な条件をつけて魔法の存在を主張するのは、なんとも都合がいいやり方だ。

クルーグマン教授は、アベノミクスについても厳しいコメントをしたばかり。
日銀は9月に政策の「総括的検証」を行うと公表している。
度重なるクルーグマン教授による金融政策へのダメ出しは、検証にどういう影響を及ぼすだろう。
筋金入りのリフレ派は変化する度量を持たないかもしれない。
しかし、その周囲、特に政治家は梯子を外されたような思いを感じるはずだ。
日銀は独立しているのが建前だから、金融政策決定会合が政府に操られることはなかろう。
しかし、それでも無関係ではすむまい。
日本の金融政策は、9月を越えて当面の間、不透明な状況が続くのかもしれない。