クルーグマン:緊縮派の3つの誤り

ポール・クルーグマン

ポール・クルーグマン教授が、国債発行による財政拡大を主張している。
その中で、財政拡大反対派の3つの主張を紹介し、反対意見を述べている。

自身のブログでクルーグマン教授は、従来からの主張である財政出動を求めている。
すでに超低金利にある中、金融政策による景気刺激には限界があり、財政政策が必要というのが教授の持論だ。
ところが、米国では財政拡大が実現しない。
どうして実現しないのか、米国に存在する典型的な3つの反対意見を紹介している。

「政府債務が多すぎて、これ以上借りれない」
この主張をする人たちは、政府債務が19兆ドルあることを挙げるが、クルーグマン教授は金額の大きさには意味はないという。
利払い費と支払い能力との比較で見るべきとし、利払いはGDPのわずか1.3%と、歴史的にも低水準にあると主張する。

「調達コストは今は低いかもしれないが、上がるかもしれない」
今議論しているのは、現時点の低金利で固定できる長期金利であるとし、10年で短いなら、30年で調達すればいいと主張する。

「政府は一つも正しいことをしない」
米国の歴史を振り返れば、偉大な米国は主に公共投資と政府支援の民間投資によって生まれたと教授は主張する。
エリー運河、大陸横断鉄道、国を縦横に走る高速道路などだ。

クルーグマン教授の反対意見に目新しいものはない。
財政拡大が必要という意見は理解できる。
米国ならなおさらだ。
ただ、この種の議論を聞いていると考えさせらる点が2つある:

  • 財政悪化を許容しての財政拡大を是とするかどうかは、聞く人の感性によるところが大きい。
  • 金利の底を感じられる状況になると、国債増発が好意的に受け取られるようになる。

特に後者は後の展開に重要な影響を及ばす。
金利上昇を睨みながらの国債増発なら、金利上昇が財政悪化の歯止めになる。
金利低下局面での国債増発にはそれが働かない。
惰性が続けば、金利へのコントロールできなくなるまで財政悪化が続いてしまう。