ウェルズ・ファーゴ5,300人解雇が語るもの

ウェルズ・ファーゴ

米商業銀行の雄ウェルズ・ファーゴが5,300人を解雇するという。
金融機関のリストラは何も珍しいことではないが、懲戒解雇となれば話は別だ。

ウェルズ・ファーゴといえば、地道に商業銀行業務に精励する大手銀というイメージしかない。
ウォーレン・バフェット氏のお気に入りでもあり、バークシャー・ハザウェイは同社の筆頭株主だ。
バークシャーのウェルズ・ファーゴ持ち分は3月に10%を超えた。

その老舗が、不正を働いた行員を大量解雇した。
顧客から頼まれもしないのに口座開設、振替、クレジット・カード発行などを繰り返していたのだという。
ウェルズ・ファーゴは2億ドル弱(約200億円)の罰金を支払うほか、顧客への損害賠償に応じるという。

この問題にあたった米消費者金融保護局(CFPB)は、ウェルズ・ファーゴ社内のノルマ/報酬の体系を問題視している。
確かにそうした問題はあるのだろうが、それでもこうした不正がウェルズ・ファーゴのイメージに合わないと感じる人は多いのではないか。
ノルマ/報酬の体系が主因であったにせよ、他に環境的な遠因があったと勘ぐるのはおかしなことではない。
そして、環境的な要因とは、一企業に限定された話ではないはずだ。

長く続いた超低金利が、金融機関の足腰を弱めているのではないか。
こうした仮説が真っ先に浮かぶ。
凍り付いた短期金融市場が顧客の金融取引を緩慢にし、銀行の利ザヤを奪い、それを埋めるために銀行員自らが顧客勘定を動かす犯罪に及んだのではないか。
問題は、この超優良と言われてきた銀行で常態化していた犯罪行為が、単なる氷山の一角なのかであろう。
うれしくないニュースが金融市場の転換点で暴露されることはままある。
そして、こうしたニュースが金融市場を不安定化することもよくあることだ。

ウェルズ・ファーゴからすれば、罰金・弁済金・損害賠償の支出など小さなものだ。
問題は、ゴキブリが一匹だけなのかだ。