アクセル・ウェーバー:2007年を思い起こさせる

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元ドイツの中央銀行総裁、ECB理事で現UBS会長アクセル・ウェーバー氏が、ドイツ人らしいタカ派の主張を行っている。
各国中央銀行の市場介入が市場を大きく歪めており、すでに副作用が効果を上回る状況にあるという。

ウェーバー氏は、世界中の中央銀行のあまりにも大規模な量的緩和が、市場の機能を損なっていると指摘する。

「各国中央銀行は、大規模に市場介入を行っている。
今や中央銀行は多くの市場で中心的なカウンターパーティになってしまった。
中央銀行が最終的な買い手なのだ。」

中央銀行が資産を買い入れる動機は投資収益を最大化することではなく、市場にマネーを供給することにある。
当然、市場の価格は歪む。
さらに、投資家は投資先まで取り上げられてしまう。

「投資家は、扱う能力がない分野にまで駆り立てられている。
2007年に異なる資産クラスで起こったことを思い出させる話だ。」

サブプライム/リーマン危機の原因となった住宅バブルを指した発言だ。
中央銀行(特に日銀)が広範な資産クラスを買い入れていることを考えれば、地雷は至るところに埋まっていることになる。

「中央銀行は、市場を歪め続けないよう細心の注意をすべきだ。
市場の歪みは中央銀行も認識していて、副作用として知られている。
金融政策の効果が潜在的な副作用より大きいとする考えは誤りだと思う。」

少なくとも米国は金融政策を正常化しようとしている。
これは、歪みを縮小する方向性をもたらすだろう。
そうなれば、この数年続いた、歪みが拡大することに賭ける投資は下火になってこよう。
そして、注目は《歪みなき市場価格》に移っていく。

「もしも中央銀行による介入が取り払われた場合に適正な資産価格がどうなるかわかるトレーダーはいないだろう。」

この不可知性が、投資家の投資配分を狂わせているとウェーバー氏は言いたいのだ。
私たちは十分に気を付けなければいけない。
株価一つとっても、よく《PER(株価÷1株あたり利益)に割高感がないからバブルではない》といった言い方をする。
実際、PERだけを見るならばそのとおりだ。
しかし、高い確率で《1株あたり利益》もまた下駄を履いているのだ。

念のためリーマン危機後の米国株のEPS・PERを見ておこう。
S&P 500銘柄のEPSとPER
皮肉にも、EPSが急減したためにPERは一時的に上昇している。
なお、同時期、東証1部のEPSはマイナスであった。