野口悠紀雄氏:日本はソ連化している

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早稲田大学ファイナンス総合研究所・顧問 野口悠紀雄氏が、1980年代終わりのバブル期について回顧している。
「日本における自由主義的な考え方は40年体制の確立とともに死滅」したままと指摘し、依然とした統制経済に危機感を呈している。

「国が経済を主導していったほうがいいという中央集権的な統制経済の考えが強まっている。
日本はソ連化している。」

野口氏は週刊東洋経済への寄稿でこう書いている。
なかなか刺激的な言葉だが、こうした観察は社会・経済における市場のメカニズムを重視する人たちに共通する認識である。

自由主義は壊滅寸前

東短リサーチの加藤出氏は日銀の資産買入れについて、日本経済を社会主義化するかのようと疑問を呈した。
マーク・ファーバーは、日銀をはじめとする中央銀行の量的緩和政策を国家の社会主義化と表現した。
藤巻健史参院議員は、日本社会を社会主義的統制経済と考えている。
ピーター・シフ氏は、異次元緩和が日本の共産化を招くと言った。

正統派エコノミストから、オーストリア学派、新自由主義者、リバタリアンに至るまで、市場メカニズムを重視する人は多い。
ケインジアンでさえ、市場の機能を完全に奪うことなど想定していないはずだ。
こうした心配の背景には、社会主義・共産主義が往々にして専制政治と共に訪れる事実があろう。

いつまで持ち上げ続けるのか

不思議なことに新自由主義と言われる自公政権は同時に市場機能をねじ伏せることも好む。
金融緩和も歴史的水準、財政支出も歴史的水準を好んでいる。
この目的はいったいどこにあるのだろうか。

そもそも当局が市場に干渉する目的とは何だろう。
言うまでもなく頻繁に市場が失敗を繰り返すからだ。
あるいは、失敗とまでは言えなくても、あまりにも振幅が大きくなるからだ。
そこを平準化するのが金融・財政による経済安定化政策である。
ところが、金利は四半世紀以上も低下を続け、財政赤字は拡大の一途である。

(次ページ: バブルの2つの原材料)