藤巻健史

藤巻健史氏:トランプを見習え

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かつてJP Morganで伝説のディーラーと呼ばれた藤巻健史参院議員が、国内の雇用確保という観点からトランプ大統領に共感している。
国内の労賃を相対的に低くするために通貨安を誘導すべきという。

空洞化を後押しする日本政府

藤巻氏は週刊朝日のコラムで、企業の海外移転に対する日米両政府の姿勢の違いを指摘している:

  • トランプ政権は国内の雇用を確保するために、企業の海外移転に待ったをかけている。
  • 日本政府はむしろ海外進出(そのうちの多くは海外移転となる)の後押しをしている。

日本のやり方はおかしくないか、というわけだ。
だからと言って、製造業の旅立ちを力づくで押しとどめろという話にはなるまい。
藤巻氏も、日本が企業にとって魅力的な立地になることが重要と書いている。

さて、藤巻氏の今回のコラムでは、氏のライフ・ワークである日本破綻論の前提を示唆する部分がある。
「オオカミおじいさん」はかねてから、日本が借金漬けで破綻すると予想してきた。
国債が暴落すると、円の信認も失われ、急激な円安が進行する。
その行き着いたところで、日本がリスタートするというものだ。
早くリスタートするために、さっさと破綻してしまえといった乱暴な議論もいとわない。

労賃を通貨安で実質的に引き下げろ

藤巻氏は日本に外資企業を誘致するための条件をこう書いている:

「日本人の労賃を円安によって相対的に安くすることと、金銭解雇を可能にして人件費を固定費から変動費に変えることが不可欠だ。
それは日本人労働者のためでもあるし、正規や非正規の差もなくなる。」

藤巻氏が国家を破綻させてでも円安を望む理由はここにあるようだ。
国際比較で高くなりすぎた日本人の賃金を、円安を用いて相対的に引き下げようというわけだ。
(日本が輸出で競合している国の多くは新興国だ。)
日本で投入される労働力や不動産のコストが円安によって相対的に下がれば、国内企業が海外に移転するインセンティブは弱まる。
海外と釣り合えば、コスト面から海外移転する企業はなくなる。
(むろん、販売面での海外進出はあろうが、それは必ずしも日本から海外への移転とはならない。)

(次ページ: 実質賃金上昇という欺瞞)