ホワイトハウス

米財政:遠い借金返済の道のり

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下院共和党政策委員会委員長を務めるLuke Messer下院議員(インディアナ選出)が減税案についてコメントした。
財政再建に必要とされる経済成長率からは、米財政の厳しい現実が垣間見える。


U.S. Rep. Luke Messer: We’re going to get a budget passed from CNBC.

「十分に注意しないといけない。
経済成長につながらない減税はダメだ。」

米下院が中期の財政収支予想を付した2018年度(今月から始まる年度)予算案を可決した5日、メッサー下院議員はCNBCで、この予算案通過が税制改革へのブレークスルーになると語った。
同時に、共和党の減税案が十分財政に配慮したものであることをアピールした。
下院とは異なり、上院では共和・民主の議席数は拮抗している。
少数の造反で、ヘルスケア法案と同様、予算案通過も暗礁に乗り上げる可能性がある。
議員は上院通過に自信を示しつつも「米上院は壊れてしまった」と言及している。

メッサー議員は、税制改革について「経済成長に寄与」する税制改革に注力すべきと主張する。

「経済を成長させるには、経済にのしかかる税負担を減らす必要がある。
全国民の税負担を軽減するには、税制を簡素化し、標準控除の2重算入を認め、納税者が定率課税を選択するよう促すことだ。」

こうした感覚はなかなか日本人には理解しがたいところがある。
複雑になりすぎた税制を簡素化すべきというのは理解できるが、後はとにかく税金を減らしたいという意図にしか見えない。
しかも「十分に注意しないといけない」とは言うものの、減税が経済成長につながるという単純なロジックはややバランスを欠くようにも見える。
米国が世界一の重税ならばわかるが、米国の企業・富豪はすでに様々な控除・税率を駆使して、そこそこ低い税負担を実現していると言われている。
今回の税制改正案も多くの識者が大企業・富裕層に有利な変更であると批判している。

メッサー議員は減税の必要性を説きつつも、十分な注意が必要とも言っている。
一見慎重そうなスタンスには、永年共和党が抱える矛盾が象徴されている。

「国の借金と赤字を解消したければ、過去どうしてきたか。
現代の歴史の中で唯一それを実現したのは、4%成長の時代だ。
減税の第一の対象は、4%成長につながる減税対象になる。
我々の減税がその道につながれば、賃金は上がり、雇用は増え、政府の税収も増える。」

経済にはいい時も悪い時もある。
趨勢的停滞論さえ囁かれる今、基調的に4%成長を達成するのは至難の業だろう。
不思議かつ悲しいことだが、世界のいろいろな場所で持続可能性を前提とできない国家運営がなされているように思える。
共和党は、減税はしたいが、防衛・インフラなどの支出拡大も望む。
その財源が社会保障の縮小だとすれば、事の善悪は別として、格差拡大のための政策のように見えてくる。
歴代共和党政権は、財政再建を主張しつつ財政悪化に勤しんできた。

米国のネット政府債務対GDP比率は81.5%(2016年のIMF推計)。
ちなみに日本は119.8%。
米国が債務国、日本が債権国であると考えれば、言葉は悪いが《目くそ鼻くそ》といったところだろうか。