白井さゆり氏:注意すべきは国債ではなくMBS

2011年から昨年3月まで日銀審議委員を務めた白井さゆり慶應義塾大学教授が、FRBの進める金融政策正常化の先行きについて予想している。
正常化の3つのシナリオを挙げた上で、今後はMBSと住宅の市場を注視すべきと説いている。

「米国で次に経済停滞が来た場合に備え、十分にFF金利引き下げの余地を作っておくことが望ましい。
その観点から、FF金利が2%に達するまではFRBは再投資をやめる必要はない。
来年末ぐらいまで待ってもいいと思う。」

白井教授はテレビ東京の番組で、高まりつつあるFRBのバランスシート早期縮小観測について、政策の妥当性の面から否定的なコメントをしている。

バランスシート縮小に意欲を見せるFRB

米FRBはリーマン危機後3回のQEを実施したが、2014年1月からテーパリング(資産買入額縮小)に着手し、現在では保有資産の満期償還で残高が減るのを補うため《再投資》を行っている。
結果、FRBのバランスシートはテーパリング終了後ほぼ横ばいを続けている。

FRBの総資産(青)、保有MBS(赤)、保有国債(緑)

一方で、FRBは2015年12月、2016年12月、2017年3月に政策金利であるFF金利を25ベーシスずつ引き上げる利上げを行っている。

実効FF金利

非伝統的金融政策の正常化には2つの側面がある。

  • 金利(FF金利、超過準備への付利)の引き上げ
  • FRBのバランスシートの縮小(保有資産の縮小)

FRBの現在のシナリオは、まずある程度の利上げをした後、バランスシート縮小に着手しようというものだ。

(次ページ: 金融政策正常化の3シナリオ)