白井さゆり氏:年内のテイパリングを

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2011年から昨年3月まで日銀審議委員を務めた白井さゆり慶應義塾大学教授が、日銀のテイパリングを主張した。
物価目標の達成度合いを考えれば量的緩和は長く継続する必要があり、そのためには資産買入れのペースを緩める必要があるという。

白井教授はECBの物価目標の定義について注目する。
ECBの2%の物価目標とは

  • 持続性があること
  • 金融緩和をやめてもインフレが上昇すること

と「非常に的確、しかし厳しい条件」の下で定義されているという。
この条件が示唆するのは、金融緩和(おそらく量的緩和を長く含む)は相当に長く続くということだろう。
特に後者についてはかなり厳しい条件だ。
この条件が満たされる場合というのは、欧州経済がディスインフレ的な環境から明確にインフレ基調に転換する場合ではないか。
換言すれば、インフレ昂進が経済の重大な問題となり、インフレを明確に抑制したいという段階であろう。

こうした見通しの下では、ECBは量的緩和を長く持続する方策を考えなければならない。
量的緩和を長く続けるには、金融市場に買える資産を温存しておく必要がある。
池の魚をいっぺんに大量に獲ってしまえば、魚はいなくなり、漁は続けられなくなる。
白井教授は、年末のECBのテイパリング決定(月800億ユーロから元の600億ユーロへの減額)は、量的緩和を長く続けるための方策だと解説する。

「投資家や市場もきちんと受け止め、パニックも起こらず、金利上昇もわずかだった。」

白井教授は、ECBのような現実路線を市場が受け入れる素地ができてきたと見ている。

日銀の2%の物価目標も達成は遠い。
オーバーシュート型コミットメントだから、2%よりもゴールは遠くにある。
事情はECBと大きくは違わない。
白井教授は、日銀が金利ターゲットを導入したこと、「年80兆円の無理な買入れ」では限界が近いことから、日銀もECBと同様の趣旨のテイパリングを実施すべきと主張した。
年内にも、現在の年80兆円めどの買入れを50兆円に戻すべきと語った。