渡辺博史氏:長期金利は緩やかに引き上げるべき

日本銀行
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渡辺博史 元財務官は、円安が政治要因によって進まない可能性に言及した。
日銀の長期金利ターゲットの運用は、内外金利差が極端に拡大しないような配慮が必要だという。

「トランプ大統領が、口先ならぬ(ツイッターを利用した)指先介入(で円安をけん制)すれば、円安が進まない可能性もある」

渡辺氏はReutersに対し、日本の金融緩和について米国から「怒られる筋合いはない」とし、日本が金融引き締めを迫られることはないだろうと語った。
とは言え、日本が現状の長期金利ターゲットを据え置き、米長期金利が上昇すれば、金利差は拡大していくことになり、これが別の批判を呼びかねないという。

「(渡辺氏は)仮に日米の長期金利差が4%程度に拡大した場合、日本がキャリートレードの資金供給源として着目され、マネーフローの逆回転時に市場混乱の原因を作ったとして、海外から批判される懸念があるとの見解を明らかにした。」

つまり、同時進行する円安ドル高を咎められるのではなく、事後の市場混乱について責められるというのだ。
結果、日米金利差とは関係なく円安進行が抑えられる可能性が出てくる。
なかなか通な指摘なのだが、世のMrs.ワタナベからすれば遠い話かもしれない。
日米長期金利差が4%になるというのがどうにもピンとこない。

そんな時がやってくることがあるのだろうか。
年末の米長期金利を3%程度と見ているエコノミストも多いから、今年中の4%差はありそうにない。
とすれば、2年後の話だろうか。
過去を振り返ってみよう。

日米長期金利差とドル円

長期金利差が4%というのは2000年を挟んだ数年間にあった水準だ。
アジア通貨危機、日本の金融危機、ITバブルなどがあった時期だ。
少なくともアジア通貨危機とITバブルは国際間のマネー・フローの切り替えしと密接に関連している。
その頃、渡辺氏は財務省で国際局担当大臣官房審議官、国際局次長、国際局長、財務官などを歴任されていた。
4%なら危ないという話は、同氏の実体験から出てきた相場観であろう。
渡辺氏は《大人の対応》が必要と話している。

「(渡辺氏は)日本の長期金利が0.5%や1%程度に上がっても、日銀が金融を引き締めたとは言われないと述べ、米国など海外金利の上昇に合わせ、日銀が緩やかに長期金利目標を引き上げるのが自然と述べた。」

なお、実務家の立場で言えば、2点に注意すべきだろう。

  • 4%はシーリングと捉えるべきであろう。
    市場関係者の中には、長期金利差は2%+のところを中心に中央回帰するとのイメージを持つ人がいる。
    現在の日米金利差は2%+だ。
    だとすれば、今後、米長期金利が上昇する場合、日本の長期金利も下降より上昇する確率が高くなっていく。
  • 米国が日本の金融政策に文句をつける筋合いでないからと言って、為替に文句をつけないとは限らない。
    ビル・クリントン政権の初期、日米長期金利差はまだ4%に近づいていなかったが、米国は円高ドル安を要求してきた。