浜田宏一教授:量的緩和は間違ってない

内閣官房参与 浜田宏一イェール大学教授に週刊エコノミストが弁明の場を与えている。
言いたいことは理解できるものの、新鮮さという意味で魅力のなさは隠せない。

量的緩和は間違ってない!

まずは、浜田教授の言い訳のくだりを読んでみよう。

「量的緩和という薬Aが最も日本経済に効くと考え、金融政策を進めてきた。
それがアベノミクス初期には予想以上に効いた。
今回の私の発言は、患者の状況が変化したので、これから財政という薬Bも併用した方がAの効果も強まると言っているに過ぎない。」

教授が在野の時、口汚く批判した相手もさぞかしこうした言い訳をしたかったろう。
3年のうちに患者の状況が変化するのは当たり前のことだし、そこで政策を変えるのもおかしなことではない。
しかし、だからといって、過去の政策に対する非難をかわせるわけではない。
週刊エコノミストは

「浜田氏はこれまで専ら貨幣数量説によるインフレを主張していて、財政政策は重視していなかった。」

浜田教授のために補足すると、教授が財政政策を重視していないわけではなかった。
特に増税については真っ向から反対していた。
一方で、「デフレはマネタリーな現象だ」と言っていたのは事実であり、この命題は暗に財政を除外する命題だ。
この点は、教授も「考えは変わった」と認めている。

量的緩和は間違ってない!!

問題は、今回の変節が教授の言うように患者の状況の変化にともなう適切な変化なのか、それとも瑕疵のある政策の修正なのかだ。
記事では何が状況変化なのか明らかではないが、その糸口となる部分を浜田教授の発言から探してみる。

「初期のアベノミクスで効果が出たのは、人々により新しいインフレ的なレジーム(政策)を期待させたこともあるが、一義的には量的緩和が円レートの下落と結びついていたからだ。
ところがその後は、米大統領選でのトランプ氏当選までは円投機の影響なのか、金融緩和が円安に結びつかなかった。」

何かの状況変化があって、金融緩和が為替に作用しにくくなったということだろうか。
ここから浜田教授の

  • 異次元緩和のツボは円安
  • 最近までの2年程度、量的緩和の円安誘導効果はなぜか発揮されなかったが、基本的には有効だ

との考えが垣間見える。
前者は為替操作を意図していることを認めることであり、国際社会ではポリティカリー・インコレクトな発言かもしれない。
(ただし、筆者は貿易相手国が許してくれる限り、それが悪いことと決めつけるつもりはない。)

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