浜田宏一教授が変貌したワケ

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内閣官房参与 浜田宏一イェール大学教授が、物価は手段であって最終的な目標ではないと語った。
現在の経済状況は追加緩和が必要なものではなく、1ドル110円は極端な円高ではないと言及した。

安倍首相に量的緩和を通した円安による経済回復を勧めてきた浜田内閣官房参与の発言の響きが大きく変わってきた。
Reutersのインタビューで語った内容は別人のようだ。

物価は根本的な目的ではない

まずは物価目標の位置づけ。

「『完全雇用で生産が好調であれば、もはや物価は根本的な目的ではない』と言明。
物価目標の実現は『第1の経済目的ではなく、国民生活により重要な雇用と生産を高めるためのあくまで2次的な目標』と位置づけた。」

教授はこうした本心を最近明かし始めた
この点について教授の考えに変心はないのだろうが、口にし始めたのは最近だ。
日銀が「総括的な検証」を行うなど、量的緩和の勝負がついた頃からである。
その頃から、教授の主たる関心は金融政策から財政政策に移っている。

追加緩和も円安も不要

浜田教授の発言でより具体的に変化したのは追加緩和と為替水準についてだろう。

「雇用情勢がひっ迫する中で、業種によっては賃上げの動きも目立ち始めるなど『経済はインフレ方向に少しずつかじを切っているのではないか』とし、『金融政策が、これ以上アクセルを踏む状況ではなくなった』
・・・
『今の110円強くらいは、日本のビジネスにとって、それほど極端な円高ではない』」

教授はつい最近まで外債購入やら限定したヘリコプター・マネーやらと言っていた。
物価目標というタガをはずせば、こうも人の考えとは変わるものなのだ。
異次元緩和を始めて早いうちから曲がりなりにも雇用はタイト化し、需給ギャップは縮小した。
そうなると円安を進めたところで恩恵の大半は輸出産業の利益増で終わってしまう。
さらに輸入産業や家計にはしわ寄せが及ぶ。

(次ページ: 量的緩和の代償)