河野龍太郎氏:賃上げ「臨界点」でも立ちふさがる伏兵

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BNPパリバの河野龍太郎氏は、労働市場が賃上げを本格化させる「臨界点」が近いと考えている。
それでも、賃上げが物価目標を達成させるまでには厚い壁が立ちふさがる可能性が高いという。

「完全雇用状態で金融緩和や積極財政を続けることは、所得配分や資源配分をゆがめることはもちろん、財政規律を失わせ、弊害が大きいことを認識すべきだと思います。」

河野氏は毎日新聞のインタビューで政府・日銀の拡張的金融・財政政策に異を唱えた。
すでに人的資源がフル稼働にある中で、さらに史上最大規模の経済刺激策を継続する意義はどこにあるのか、問うたものだろう。
日銀は依然として(市場の大勢が当面不可能と予想する)2%物価目標を掲げている。
完全雇用に近いとは言え、賃金上昇は鈍く、物価上昇率が思うように上がらない。
2%を目標とするから刺激策をやめられない。

河野氏は、ボトルネックになっていた賃金上昇が本格化する可能性を語っている。
団塊の世代が70代になるにつれ、人手不足はいっそう深刻化するという。

「労働市場は『臨界点』に近づいていることは明らかで、いつ賃金上昇が加速してもおかしくありません。
もしかすると、19年を待たずに18年後半にも一気に賃金が上がっても不思議ではありません。」

河野氏によれば、賃金上昇は非正規社員を中心に起こり、正規社員は賃上げより終身雇用など雇用の安定を優先すると予想されるのだという。
それでも全体として賃上げが実現すれば、中身に対する好き嫌いはともかく、とにかくQQEはゴールに近づく。
しかし、その可能性は4割程度しか見込めないのだという。

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 「19年に賃金上昇が加速する前に、6割くらいの確率で景気拡大が先に終わってしまうと考えています。」

景気拡大が終われば、循環的な要因とは言え、賃上げ圧力はやんでしまう。
主要経済の動向を見ると、6割という確率が決して保守的とは言えないように聞こえてくるのだ。

  • 欧米: 金融政策が引き締め側に変化し経済を冷やし始めている一方、中央銀行は金融緩和の「バッファー」を稼いでいる。
  • 中国: 「米国が今後も利上げを続けると、中国も利上げをせざるを得ず」、経済に悪影響を及ぼす可能性。
  • 日本: 不況に対応するための「バッファー」がない。

日銀の物価目標はオーバーシュート型目標だ。
2%にタッチしただけでなく、それが基調的に根づくまでQQEは続く。
日銀が循環的な停滞に対応するのに十分な「バッファー」を稼ぐまでさらに数年かかるだろう。
バッファーがなければ、単なる循環的な停滞であっても傷は深くなる。
賃上げはいまだ逃げ水のようなものかもしれない。