河野龍太郎氏が会合に呼ばれたワケ

BNPパリバの河野龍太郎氏が、円高・円安の損得勘定を解説している。
需給ギャップが解消した現在は、円高の方が国民の経済厚生は改善すると説明している。

河野氏と言えば、一貫して異次元緩和やアベノミクスの誤りを批判してきた印象がある。
しかし、それは一面の見方でしかない。
河野氏は異次元緩和が始まる実に10年前『円安再生』という本を書いている。
大規模為替介入でマイルドなインフレを誘導しようと主張していた。
つまり、大昔からのリフレ派なのだ。

その河野氏がReutersの寄稿で、今は円高が望ましいという。
心変わりしたわけではなく、状況に応じた判断が必要だからだ。
河野氏は一般論として

「不況局面にあり、負の需給ギャップを抱えているのなら、円安が望ましい。
そうした経済状況では、金融緩和が望ましく、それが円安を促す。
輸出が刺激され、需給ギャップが改善される。

反対に景気拡大が続き、経済が完全雇用に達したのなら、円高が望ましい。
そうした経済状況では、金融緩和の手じまいが望ましく、それが円高を促す。
供給制約で経済全体のパイの拡大が困難になっても、円高が輸入を促すことで、消費水準を高め経済厚生を改善できる。」

極めて単純なモデルによる判断基準ではあるが、かなり説得力のあるものであろう。
河野氏は、異次元緩和が円安に固執するあまり、消費の落ち込みを許したと指摘する。
その他、円安がもたらしうる深刻な問題点が解説されているが、それはぜひ原文を当たっていただきたい。
ここでは、ショッキングな序文を紹介しよう。

「最近、自民党のある会合で、円安が本当に望ましいのか、解説を依頼された。
円安が株高につながるとしても、有権者や中堅・中小企業からの反発に直面し、自分たちが進めてきた政策が一国全体の経済厚生の改善につながっているのか、心配する政治家が増えているのだろう。」
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これは、極めて重大な現象なのではないか。
河野氏は民主党政権時代の2012年、日銀審議委員に推されたが、自公が多数を占める参院で国会同意人事を否決されている。
消費増税に賛成、量的緩和強化に反対の意見を持っていたためとされる。
河野氏は当時すでに日本を代表する民間エコノミストの一人であったから、同人事否決は政治的駆け引きの余波であった。
その後、日銀が黒田体制になってから就任した審議委員には河野氏より2クラス以上劣る人もいるから、日銀人事もしょせん政治にすぎないのだ。

自民党がその河野氏の意見を聞いている。
ゆっくりだが確実に日本社会は変化しつつあるようだ。