河村小百合氏:量的緩和の行きと帰りは一体のもの

日本銀行
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日本総合研究所の河村小百合氏が、日銀の出口戦略への不満を募らせている。
「不都合」がともなう出口の過程について、早いうちから国民・市場と認識を共有しておくべきという。

河村氏は週刊エコノミストへの寄稿の中で、FRBと日銀の間の説明・発信のあり方の違いについて書いている。
ここで焦点となっているのは、日銀に関して市場の最大の注目点となっている量的緩和の出口についてである。

「『バランスシート(BS)政策』は、BSを拡大させる『往路』のみでは成り立たず、BSを元通りに縮小させる『復路』まで完結して初めて成り立つものだとFedは当初から一貫して考えている。」

膨らむ中央銀行のBS

だからこそFRB(Fed)は早いうちから「復路」の議論を始め、「”不都合な点”も含めて、米国民や市場関係者に対して丁寧に、誠実に発信している」のだという。
ここで言う「BS政策」とは量的緩和政策においてFRBが米国債・住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れた政策を指す。
これにより、FRBの総資産はQE実施前の約5倍に膨れ上がっている。

FRBの総資産(青)、保有MBS(赤)、保有国債(緑)
FRBの総資産(青)、保有MBS(赤)、保有国債(緑)

膨れたBSはインフレ昂進の温床

米国債やMBS(資産側)の反対勘定(負債側)は市中銀行から預かる準備預金だ。
膨張した準備預金はいつインフレ昂進の原因となるかもしれず、禍根を残さぬよう元通りにしておくことが求められる。
少なくともFRBはそう認識している。

保有する米国債やMBSを売却すれば、ドル金利・米住宅金利が急騰しかねない。
だから、FRBは現在、満期償還された分について再投資を行うことで不慮の金利上昇が起こらないよう工夫している。
今後もFRBは保有債券の満期保有を続け、徐々に再投資を縮小、ゆっくりとBS縮小を実現するものともくろんでいる。

(次ページ: 日銀が自ら踏み込んだ深み)