次の景気停滞は財政政策で?

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先週のジャクソンホールのシンポジウムで公表された財政政策の安全性に関わる論文が注目を浴びている。
金融政策が限界に達したと見られる中、財政政策の活用を促すのに追い風となるような内容だ。

我々の標本データでは、政府支出の拡大ショックは債務対GDP比率や借入コスト(金利、CDSスプレッド)の持続的増加をともなわないことが明らかになった。
この結果は、特に経済が弱い時に顕著だ。
実際、経済が弱い時期の財政刺激策は、財政の持続性とともに我々が検討した指標を改善する可能性がある。

UC BerkeleyのAlan J. Auerbach、Yuriy Gorodnichenko両教授はシンポジウムで公表した論文で、財政政策の危険性への懸念を払しょくするようなメッセージを述べた。
金融政策以外の政策出動を促すような内容が多かった今シンポジウムの論調に沿うものだ。
両教授の問題意識は明確だ。
次に訪れる景気停滞期には、金融政策以外の安定化政策が必須となると予想されるからだ。

マージンのない安定化政策

リーマン危機後、先進国の中央銀行は非伝統的金融政策を駆使して経済回復を図ってきた。
経済はすでに長い拡大を続けており、これ以上の経済安定化政策の継続は金融安定を脅かしかねない。
FRBは金融政策を引き締めに転じたものの、まだFRBのバランスシートは膨張したままで、FF金利も極めて低い水準にある。
欧州や日本に至っては、いまだ金融緩和のアクセルを踏んだままだ。
今、景気停滞期がやってきても、金融緩和の余地は極めて小さい。

もう一つの安定化政策である財政政策は、すでに高い債務レベルから採用が敬遠されがちだ。
これ以上の財政拡大が政府財政を悪化させ、政府の資金調達コストを押し上げるようなことになれば、新たなソブリン危機を招きかねない。
両教授の論文は、先進国における財政拡大と財政悪化の相関を調べたものだ。
結果は、いわゆる上げ潮派の論理を裏づけるものとなっている。
特に景気が悪い時ほど緊縮より財政出動が有利になるというものだ。

ただし、喜んでばかりもいられない。
両教授は、今後の将来予想に根源的な困難がともなうことを明かしている。

(次ページ: 異なるレジームを予想できるか)