榊原英資教授:来年末1ドル90円へ

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ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授は、来年末に1ドル90円まで円高が進んでも驚かないと語った。
90円を割り込むまで、日米での協調介入は見込めないという。

「円は緩やかに円高に向かい、来年の年末には90円でも驚かない。
もしも90円を割り込んで80円に向かうとすれば、米国との協調介入を行うだろう。
現時点では米国が介入に同意しない。」

榊原教授はBloombergで従前よりの円高予想を据え置いた。
教授は従前、ドル円が今年末に1ドル100円に向かうと予想していた。
日銀の金融緩和サイクルが最終段階に差しかかり、世間で言われているのとは逆に、日米金融政策がコンバージェンス側に振れるとの見立てからだ。

協調介入のタイミングを90円割れとみるのは、財務省・日銀の本音を見透かしてのことだろう。
経済成長はもちろんのこと、財務省は米国の意向、日銀は物価への影響を考えざるをえない。

「現在の日米間の金融政策のスタンスの差を見れば、円の上昇は自然なことであり、黒田総裁も現状が危機とは思っていないだろう。
1ドル95-100円のレートは日本経済にとって問題ではない。」

円安で恩恵を受けるのは輸出産業であり、その輸出産業でさえすでに相当な海外進出を進めている。
榊原教授はさらに黒田総裁の読みを推し量る。
黒田総裁が強気姿勢を続ける一因は、内需の増加が見込めるからだ。

「2020年のオリンピックに向けて今後数年インフラ投資が必要になる。
政府は実行するだろう。
もちろん財政上の限界もあるが、財政政策がある時点で活発化するはずだ。
黒田総裁はそれを予想し、政府もおそらくそれにこたえるだろう。」

オリンピック前の総需要の盛り上がりがインフレの押し上げ要因となるとの見方を示した。
榊原教授は終始、黒田総裁の政策運営に理解を示すスタンスだったが、経済への見方はリフレ派と大きく異なる。
従来から説いているとおり、成熟した社会・経済を前向きに受け入れ発展させるべきとの考えだ。

「日本の成長率は約1%、物価上昇率はほぼゼロだが、私はこれが日本にとって問題だとは思わない。
あなたがデフレと言った場合、その用語にはよくない印象がこもっている。
しかし、日本の物価推移・GDP推移としては問題ではないのだ。
日本経済は収縮しておらず、年1%で成長している。
成熟経済とはこういうものだ。」

デフレがいいものか、悪いものか。
それは消費者物価なのか資産価格なのかでも違うし、デフレなのかディスインフレなのかでも違ってこよう。
また、インフレ/デフレの中身によっても違う。
米国のようにデマンド・プルの色彩が強いか、日本のようにコスト・プッシュの色彩が強いか。
だからこそ、米国の話をそのまま日本に持ち込んではいけない。
この論争、水面下ではまだまだくすぶり続けている。