榊原英資教授:アジア危機再来は予想されない

Share

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授は、アジアでの大きな危機の再来の可能性を否定した。
米FRBが金融引き締めを進める中、新興国経済で混乱が起こるとの観測を打ち消したもの。

「彼(IMFのアジア部門副責任者)は危機の真っただ中に(タイなどで)多数の金融機関を閉鎖するよう勧告したんだ。
それが事態を悪化させた。
さらには、危機の真っただ中に変動為替制に移行しろと勧告したんだ。
もしそうすれば、為替レートは崩壊する。
そして、そうなった。」

榊原教授が香港Asia Timesのインタビューで、20年前に起こったアジア通貨危機を回顧した。
IMFはアジア経済を縁故資本主義とみなし、アングロサクソン流の経済へのリストラを求めた。
一方的なやり方を危機の真っ最中に実行させようとしたIMFを目の当たりにし、財務官を務めていた教授はアジア版IMFの創立に動く。

横やり、AMRO設立

アジア各国からは賛同が得られたものの、矢は別のところからやってきた。

「ローレンス・サマーズ(当時米財務副長官)が反対し、構想をつぶしたんだ。
彼とは仲のいい友達だったが、今でも彼の怒った電話を覚えている。
いきなりこうだった:
『エイスケ、君は友だちだと思ってたよ。』」

アジア地域での影響力低下を恐れた米国は、アジア最大の同盟国 日本であっても影響力拡大を許さなかったのだ。

榊原教授が構想したアジア通貨基金のコンセプトは長い時を経て一部ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)で実現した。
AMROは2011年アセアンと日中韓で設立され、2016年国際機関化されている。
地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、チェンマイ・イニシアティブ(金融危機の地域的な連鎖と拡大を防ぐため、外貨支払に支障を来した国に対し、通貨スワップにより短期のドル資金を現地通貨を対価として融通する枠組み)の実施を支援するという。

(次ページ: アジア危機再び?)