早川英男氏:長期金利ターゲット変更はサプライズに

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元日銀理事の早川英男氏が、長期金利ターゲットの変更はフォワード・ガイダンスできないと解説した。
長期国債の価格変化が政府を含めた多くの利害関係者に大きな影響を及ぼすからだ。

早川氏は24日の記者向け勉強会で、長短政策金利の取り扱いの違いを解説した。
長期の政策金利を変更する場合の特徴として

  • 長期金利ターゲットを変更すれば、直ちにほぼ直接的に長期国債の価格を変化させる。
  • デュレーションが長いために債券価格の変動幅が大きく、長期国債保有者に与える損益影響が大きい。

が挙げられ、利上げすれば、日銀が国債保有者にキャピタル・ロスを与えた形になりかねない。
(資産買入れの段階ではキャピタル・ゲインなので文句が出にくい。)
さらに、(財政従属に片足を突っ込んでいる今)政府(財務省)という厄介な利害関係者も存在する点を指摘した。
こうした難点をクリアするためにも、長期金利ターゲットを引き上げるよりターゲットとする金利期間を短期化していく方が現実的と説いている。

早川氏は、日銀が長期金利ターゲット変更を予告すれば債券価格は直ちに動くと予想。
フォワード・ガイダンスがなじまないとし、サプライズのような公表になると予想している。
これは少々「フォワード・ガイダンス」の言葉の意味に差があるようだ。
FRBは、短期のFF金利を引き上げる前、念入りに市場に織り込ませるようガイドしている。
長期と短期の差こそあれ、同じことだ。

フォワード・ガイダンスとは、いついつに絶対に金利を引き上げると約束することではない。
先々の金融政策の変更のロジックや相場観などについて市場と共有することだ。
FRBのように「データ依存」でもいいから、こうした条件が満たされれば利上げするだろうと示すことだ。
それが、長期金利だからといってできないというものでもないだろう。
現状の日銀のスタンスはそれほどにフォワード・ミスガイダンスなものだと思う。

その他、留意すべき点は次の通り:

最後の法定準備金引上げというのは、銀行が日銀に預けた超過準備預金のうち付利の範囲を狭めるという話であり、実質的な銀行への預金課税である。
これが預金者に何らかの形で転嫁されるのは不可避であろう。