早川英男氏:景気対策の愚の骨頂

元日銀理事の早川英男氏が、深刻な人手不足についてのコラムを書いている。
一見雇用の話と思いきや、最後に本質を突く辛辣な指摘が待っていた。

早川氏は週刊東洋経済のコラムで、日本の雇用環境について丁寧に解説・評価している。
極めて正統的な議論であり、とても勉強になる読み物だ。
しかし、このコラムで一番面白いのは、早川氏の結論:

「今この国で必要なのは生産性の向上とフルタイムの女性就労を支援することだろう。」

の後に添えられた結文であろう。

「建設業界が残業時間の制限に適用猶予を求めているようなときに、景気対策で公共事業を増やしているのは愚の骨頂というほかあるまい。」

2017年度予算は先月27日、参院本会議で自公の賛成多数で可決、成立した。
一般会計は97.4兆円と過去最大。
5年連続で過去最大が更新されている。

政府は、人手が足りなくて請け負った仕事がこなせないと嘆く産業に、どういうわけだか人手ではなく仕事を先に与えている。
需給をひっ迫させて請負単価を引き上げ、何がなんでも物価を押し上げようとでもいうのだろうか。
拡大した財政を元に戻す段になれば、需給も物価も元に戻ってしまうかもしれないのに。
血税の使い道としてはなんとも効率のいい話だ。

早川氏が時の政権の財政政策を「愚の骨頂」と言うのも、こうした考えからだろう。
偏狭な移民政策を続ける日本が人手を生み出すのはそう容易ではない。
労働参加率を上げるか、一人が供給できる仕事を増やすしかない。
ブラック企業の問題も深刻だから、人が苦労しなくても生産性が上がるしくみが必要なのだ。
決して、金融政策や財政政策で解決する話ではない。