早川英男氏:早くて2020年の出口がさらに遠のく

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元日銀理事の早川英男氏が、日銀に対し再び「総括的な検証」を行うよう促している。
昨年の日銀の言い訳はもう存在しないのに物価目標に進捗が見られず、日銀の見通しはますます非現実になっていくという。

「今は海外経済は良いし原油が下がっているわけではないのに、また見通しを下げなければならなくなっている。
昨年の理屈は早くも崩壊している。」

早川氏は、昨年9月の日銀による「総括的な検証」がすでに不十分であったことが露呈したとBloombergに示唆した。
検証で挙がった言い訳は現在には当てはまらない。
にもかかわらず、日銀が予想していた結果が出ない。
そうこうする内に、向かい風となるであろう2つのイベントが近づいて来る。
一つは2019年10月に予定されている消費増税。
もう一つは景気後退だ。

早川氏は2019年の消費増税が実施されるとすると、QQEの「出口はその後落ち着いてからにならざるを得ないため、最低でも2年遅れる可能性がある」とし、最短でも2020年になると予想。
あと3年間となれば「この間、景気は大丈夫と日銀も自信を持っては言えないだろう」と話す。
もちろん消費増税を再び延期する可能性もある。
しかし、それでも海外での景気後退の波及を避けきれるかどうかは疑問だ。
すでに米景気拡大は9年目に入り、日一日と景気後退の確率は高まっている。

こうした環境の中で、日銀が現状の目標を現状の枠組みで実現するのはますます非現実的になっていく。
早川氏は、すでに国内物価は「がく然とする弱さ」であり、コアコアCPIは「良くて前年比横ばい、下手をするとマイナスに逆戻り」と予想している。
2%物価目標は遠のくばかりであり、9月にも「総括的な検証」第2弾が必要だと主張する。

早川氏はQQEの2つの要素、物価上昇と期待に対して疑問を呈する。
「現状を見れば物価が上がらなくても経済は良くなっている」し、インフレ期待の形成が「適合的」であることは「ずっと前から分かっていた」と斬って捨てる。
「間違ってごめんなさいと言うべき話だ」と厳しい。
それでも、ゼロ金利制約を脱するためにインフレを高めておくとの考え方はありうる。
早川氏は、それが日銀の本心ならば正直に「中央銀行として政策対応余地を作るため2%くらい許してください」とコミュニケーションすべきだと言う。

将来の景気後退に備えて金融緩和のマージンを稼ぐやり方にはいくつもある。
インフレを高め名目金利を上げておく。
景気刺激をして実質金利を上げておく。
これらは、リフレや金融緩和が成功する場合の果実でもある。
一方、欧米は今、金融を引き締め側にシフトし、後戻りのマージンを稼ごうとしている。
これは、成功の場合と真逆の方向性である。
欧米はそれほど急いでいると考えるべきだろう。
そして、日本はマージンがほとんどない状況で景気後退を迎えるリスクを負っている。