早川英男氏:市場は徹底的に攻撃してくる

元日銀理事の早川英男氏が、長期金利ターゲットの短期化を勧めた。
ターゲットが経済の実勢と乖離すれば、ターゲットからの逸脱を狙う筋から攻撃を受けかねないという。

「期間を短くすることで少しずつ調整すれば良い」

早川氏は日銀のイールドカーブ・コントロール調整についてこうBloombergに話した。
米FRBは利上げペースを速めそうな気配だ。
欧ECBは12月にも資産買入れをテーパリングするとの観測が流れている。
欧米でインフレが上昇し、金融政策が変化する中、日本だけが置いておかれている。

金融政策のダイバージェンスが拡大すれば、為替・債券など金融市場に影響が及ぶ。
望ましいものもあれば、望ましくないものもある。
得をする人がいれば、損をする人もいる。
大きすぎる拡大はやはり風当たりが強くなる。
結果、日銀が0.0%程度としている長期金利ターゲットを動かすのか、動かすべきではないかとの議論も出てくる。

金利ターゲットの短期化を

早川氏は、10年金利のターゲットを引き上げるのではなく、ターゲットとする年限を10年から短期化してけばいいと示唆する。

「国債価格の変動で影響を受ける利害関係者が多いため、金利水準を市場に委ね、政策変更による混乱を避けるのが狙い」

だという。
確かに現実的かつスマートな手法であろう。
できないことを言うのではなく、できることを言っているところが高く評価できる。

ただし、実効性については、やってみなければわからない。
元々10年金利をペッグしようとした理由は、より長期の金利の方が実体経済に影響すると考えたからだろうし、金融市場にとっても10年金利は特別な年限の金利、いわば《ザ・長期金利》である。
ターゲットの年限を短期化したところで、人々の10年金利への注目はやまないだろう。
結局、人々の行動は変わらないかもしれないし、むしろターゲットと10年金利を見なければならない分手間が増えるかもしれない。

こうした不透明な点はあるものの、早川氏の提案は実行可能なものであり、短期化は自然な流れでもあるから試してみるといいかもしれない。
ベン・バーナンキ前FRB議長が長期金利ターゲットを論じた時も、年限は中長期を念頭においていたようだ。
確かに、10年金利を操作するのは(晴れもあれば嵐もある市場では)少々やっかいだ。

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