日本銀行

日銀は変質したのか、あるいは本音を語り始めたのか

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今月15-16日の日銀金融政策決定会合について開示された「主な意見」の中に気になるものがあった。
低金利が財政にプラスに働いたのを手柄とするかのような話が公言されている。(浜町SCI)

「2%の『物価安定の目標』の達成には未だ距離があるが、『量的・質的金融緩和』は、雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善という成果を上げている。
SNAベースの財政赤字の対GDP比は『量的・質的金融緩和』導入以前と比べて、消費税の増税分を除いても4.5%ポイント程度低下した。
これらの成果を考えれば、現在行っている金融緩和政策を粘り強く続け、需要の着実な増加、失業率の低下、それによる賃金の上昇、物価の上昇、予想物価上昇率の上昇を待つことが必要である。」

とうとう政策決定会合の場で、財政の負担軽減をQQEの手柄とするような話が語られ始めた。
量的緩和に反対する人たちが挙げてきた1つの理由、マネタイゼーション財政従属を連想させる議論だ。

この意見は3つの文章からなる。
第1文ではQQEの3つの手柄、雇用・消費・財政が挙げられる。
第3分は結論。
そして第2文は財政面の手柄を説明するもの。
これから見ても、この点が新たな話題であり、話者が重視していることが伺われよう。

2%の物価目標を至上目標として開始したQQEは、その本来の目標において極めて大きな未達を続けている。
雇用は改善したが、すでに完全雇用であることを考えるとさらにQQEを続けるべきかは判断の分かれるところだろう。
消費について手柄とするのは、実績からみて少々感覚がずれている。
しかし、何より問題なのは、財政支援を手柄に上げてしまうところだ。

仮に金利を低く抑えたことを日銀の成果としてしまえば、厳しい財政状況が続く政府・政治は同様の成果を日銀に求めかねない。
ただでさえ、金融政策の経済刺激効果が限界に近いと考えられ、財政政策を望む声が増えている。
長らく金利をゼロにすることで、狭義の政府の利払い負担がゼロにできると思えば、政治は財政規律を失うだろう。

金融緩和が財政を助けるというロジックを日銀が公言するようになったことの意味は小さくない。
これによって財政規律が緩み、日銀の国債買入れが進めば、将来そのつけが通貨 円の保有者に付け回されることになるかもしれない。
こうした変化が掻き立てる不安で、日本人はさらに財布の紐をきつくすることになるのではないか。