技術革新で雇用が奪われるのが問題なら・・・

ロボット
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自動化・IT化で生身の人間の仕事がなくなっていく。
その問題の一部を解決するにはロボットへの課税が有効との話がまじめに議論されている。

マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツ氏は先月Quartzのインタビューでこう答えている。

「現在人間の労働者が例えば工場で50,000ドルの価値のある仕事をしているとする。
その所得は課税され、所得税・社会保障税などの税をとられる。
もしもロボットが導入され同じ仕事をするなら、ロボットに同レベルの課税を考えてもいい。」

ゲイツ氏は自動化で雇用が失われるのを前向きにとらえている。
人間にしかできない仕事はまだ無尽蔵にあるからだ。
労働者の望ましい再配置に期待しながらも、人間を機械に切り換えたことで所得税収が減るのは見過ごせないという。

Reutersによれば、欧州議会も社会の自動化進展に注目しているという。
ロボット活用(含む自動運転車)に関わる倫理的側面や責任について検討すべきとの提言がなされている。
自動化で仕事を失った労働者の支援・訓練の財源のためロボット税が提案されていたのだが、却下されてしまった。
ロボット業界は、当然ながら、大喜びだ。

ロボットに対して税を課すには技術的な問題も多くある。
まず、ロボットの定義を明確化する必要がある。
ロボットはヒューマノイドと同義ではない。
ヒューマノイドのほとんどは利益を生まないロボットだ。

一方、利益を生むロボットとは産業用ロボットであり、その姿は人とは似ても似つかない。
何をもってロボットとするか、どこからどこまでが一人のロボットなのか。
思えば、ゲイツ氏が普及に貢献したPCだって、あるいは高性能スマホだってロボットかもしれない。
PCの普及が多くの事務員の雇用を奪ったのは間違いない。
一つ一つの機種について《これは何人分》というように換算していくのは極めて難しいだろう。

こうした技術的課題があるからといってすぐさまあきらめるべきアイデアでもないかもしれない。
ゲイツ氏は、ロボット税という形もありうるし、効率化による利益増への課税もありうるとしている。
欧州議会への提言を行ったMady Delvaux氏は、議会の姿勢に落胆を隠さない。

「労働市場に悪い影響を及ぼしうると勘案するのを拒絶されがっかりした。
議会は自由で未来志向の議論を拒絶し、市民の心配を無視してしまった。」